01 復興とは、未来に希望のもてる新しい社会や地域を創造していくこと
平成23年度の幕開けは、生涯忘れることのできない歴史に残るものとなりました。3月11日に発生した東日本大震災は、想像を絶する被害をもたらし、福島原発問題の深刻さは日本ばかりでなく世界にも影響を与えています。発生から1ヶ月が経とうしている現在でも余震があり、復興にはどのくらいの時間がかかるか誰にもわからない状況です。しかし、どんな状況になっても生きていかなければなりませんし、未来に希望をもとうとするのが人間です。そのためには、私たちの今までの生き方そのものを見直し、新しい価値観のもとに生きていくことが必要になるのではないでしょうか。福島原発問題によって、日本の原発のあり方や環境問題への取り組みは変わらないわけにはいかないでしょう。さらに、変わらなければならないのは、電気をはじめ、さまざまな資源を疑問に思うことなく浪費してきた私たち一人ひとりの生き方だと思うのです。生活環境や生き方を変えなければならないのは被災した東日本の人たちだけではなく、震災の影響の少ない西日本に暮らす私たちも含めてです。この現状があるのは、自分の責任なのかもしれないという意識をすべての人たちがもち、自らが変わることを実践していければ、未来に希望のもてる新しい社会が創造できるのではないかと思います。復興とは、震災前の状況に単にもどることではなく、震災を契機に未来に希望のもてる新しい社会や地域を創造していくことではないかと思うのです。たんぽぽの家では、被災地の復興に向けて、中長期的に専門性を活かした支援に取り組んでいきたいと考えています。たんぽぽの家がこれまでの活動で培ってきた専門性をいかして、被災地の人たちとともに考え、実践していくことで、未来に希望のある復興をめざしていくことができればと思います。こうした支援プロジェクトの全体像については、近日中にウェブサイトなどをとおして広く発信していく予定でおります。平成23年度も、みなさんのご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 (成田 修)
東日本大地震被災者へ義援金をたんぽぽの家で募りました。集まった51,649円を日本赤十字社に送金しましたので、ここにご報告します。ご協力ありがとうございました。
02 「ヨリコレミドリ 山野将志展」
会期:3月3日~15日
場所:高島屋大阪店ギャラリーNEXT
高島屋大阪店の全館リニューアルオープンに伴い、「ギャラリーNEXT」が新設されました。そして、そのギャラリーのオープニングを飾る作家として山野将志さんが選ばれ、展覧会「ヨリコレミドリ」が開催されました。植物や動物、森や空、命あるものたちと自分を表現する大切なものすべてを全身で感じ取って、力強い線と豊かな色彩で描いた作品たちが、ギャラリーに並びました。真っ白な空間に、山野さんの色とりどりの作品が浮かび上がり、作品を見ただけでも、山野さん自身が、山野さんらしく、人として、そして作家としても、生き生きと過ごしてきた様子が伝わってきました。そんな大きなエネルギーを持ち、それを私たちにも与えてくれている人なのだと、改めて感じさせられました。山野さんも在廊し、本当にたくさんのお客さまみていただきました。これからまた、山野さんの世界が広がっていくことを一緒に楽しんでゆきたいです。「ヨリコレミドリ 山野将志展」に来ていただきました皆様、ほんとうにありがとうございました。(市川)
03 アートフェアvol.3「Very Barie」終了しました!!
たんぽぽの家のギャラリーで春に開催しているアートフェアが今年で3回目をむかえました。アートフェアはアートセンターHANAの作家作品の展示販売をHANAギャラリーで行うめったにない機会です。今回のテーマは「Very Barie」。HANAアーティストの中村真由美さんのハリポテ、青木優くんの絵画に加え、招待作家として東京のアトリエポレポレで活動中の佐々木卓也さんの陶芸と紙粘土による立体作品、カンパニーアーティストの星野祥代さんの版画を出展しました。ギャラリーを彩った作品たちは今年のテーマのとおり、バリエーションが豊かで、ポップな雰囲気と春の生命力のようなフレッシュで力強さを感じさせてくれました。3月19日に行われたオープニングパーティーには、関西の施設関係の方々や、日ごろからお世話になっているケアサポーターのみなさんがお祝いにかけつけて下さり、ほんわかとした楽しい時間をアーティストと一緒に過ごしました。(北野)
04 第29回わたぼうし橿原コンサート
暖かくなってきた3月13日に、わたぼうし橿原コンサートを開催しました。多くの方々に観にきていただき、盛況のうちに終えることができました。第1部には、メンバーの山口広子さんが出演しました。作詩「私の一日」が、十数年ぶりに入選されての久しぶりの出演に緊張しているようでした。また、この4月から新しく入ったメンバーの河野望くんも、「未来へのトビラ~卒業生に贈る~」で他の奈良養学校の卒業生と一緒に入選され、卒業前に友達とのすばらしい思い出をつくったことだろうと思います。 今回のゲスト、「和太鼓のら」には、日本各地に古くから伝わるお囃子、太鼓、しの笛、民舞などの伝統芸能を披露していただき、とても楽しいステージとなりました。来年の30回に向けて、実行委員会も動き始めようとしていますので、興味のある方は、ぜひご連絡ください!(森本)
05 第36回わたぼうし音楽祭への道 Vol.1
作詩の部入選者が決定!
3月19日・20日の2日間にわたり第36回わたぼうし音楽祭「作詩の部」の選考会を行いました。約50人の市民選考委員が参加しました。全国から467作品が寄せられ難航した選考の結果、以下8点の第36回わたぼうし音楽祭「作詩の部」入選詩が決定しました。
●Thanks my family 綾垣 葵[熊本市・15歳]
●言葉~ことのは~ 有川梗子[奈良市・43歳]
●空からのキャスティング 小林 聡[大阪市・45歳]
●白樺の家 千葉裕美子[岩手県岩手郡・36歳]
●ありがとうオパール~盲導犬オパール号に寄せて~ 藤田芳雄[新潟県長岡市・63歳]
●先生の声 野崎富美子[山口県下関市・43歳]
●生命のハーモニー 早川奈美江[静岡県袋井市・37歳]
●買い物 東野玲央[兵庫県加古川市・13歳]
現在、実行委員会では、入選詩にメロディをつける「作曲の部」、詩とメロディをセットで応募する「作詩・作曲の部」の作品を募集しています!あなたのメロディで、第36回わたぼうし音楽祭を演出してみませんか!あなたからのご応募、お待ちしています!(松本)
06 大阪難波の高島屋に Able Art Company 期間限定ショップHUMORA(ユーモラ) 登場!!
期間:3月16日(水)?29(火)
場所:大阪高島屋5階
大阪高島屋のグランドオープンに合わせて開催された、「期間限定ショップHUMORA」が、大盛況のうちに終わりました!ヤングマーケット「gokai」のキラキラしたアパレルショップに並んで、突如現れた?HUMORAショップ。エスカレーター脇から覗くカラフルなグッズに、「こんなの初めて見た!♪」と、会話を弾ませながら、じっくりと商品に見入る人たち。気づけば人だかりが!などという場面も多々ありました。 Tabio×Able Art Companyの大人気のプリント靴下は、新柄も登場。「ちょっと派手やろか?」と、熱心に選ぶ70?80代と思しき女性の姿が。また、高校生の息子さんにド派手なアンダーウェア、小学生のお孫さんにミニバッグと、プレゼント用に買われる方も目立ち、幅広い年齢層の方に楽しんでもらえたことを感じました。また、今回は、HUMORAショップだけでなく、入り口のウィンドウに山野将志さんと新見直子さん(兵庫在住のカンパニーアーティスト)の作品が、おしゃれなワンピースとともに飾られ(圧倒的な存在感!でした)、ローズパティオと名付けられた休憩スペースには、中村真由美さんのハリポテや、複製画が飾られるなど、高島屋全体で多様な表現を展開することができました。 今後の展開にも、ぜひご期待ください♪(島)
07 「言語から身振りへ―ふるまいを読み解く」開催しました
3月12日に大阪・應典院にてケアする人のケアフォーラム「言語から身振りへ――ふるまいを読み解く」を開催しました。参加者はヘルパー、支援学校の先生、音楽療法士、看護師、理学療法士など、さまざまなケアの現場で活動されている方々でした。オープニングはダンサー竹之下亮さん(介護職経験者)のパフォーマンス。事例報告では、ホスピタルクラウンの塚原成幸さんに小児病棟における関わりについて、ジャワ舞踊家の佐久間新さんに高齢者施設でのダンスワークショップについてお話しいただきました。続くディスカッションではケアの現場のコミュニケーションについて参加者も交え話しあいました。講演では、身ぶりやしぐさを含む人間のコミュニケーションを研究している野村雅一さんに、私たちのやりとりにおける非言語的要素について伺いました。からだやそのふるまいを感じることは、言葉に表されないことを想像することにつながります。それはおそらく、ケアの現場においても重要なことなのではないでしょうか。(井尻)
08 「障害者アートフォーラム 奈良よりアートをこめて」
3月21日(月)奈良県立図書情報館で開催しました。このフォーラムは、近年、人間性を回復させるアートとして評価を得ている障害者アートの様々な人を繋げる力を、奈良の地から発信することを目的に行われました。講演者には野村ヨシノリさん(奈良アートプロム代表)、片岡和子さん(アートスペース上三条)、由利正樹さん(授産施設みどりの家)、川上文雄さん(奈良教育大学)と学生さんたち、たんぽぽの家の播磨靖夫さんと中井幸子さんを迎え、奈良のアートについて聞きにきてくれたお客さんも一緒に語り合いました。(吉永)
09 遠いところ、小さいところ、弱いところへと向かうアート
たんぽぽの家では、今年度文化庁の助成を受け、アートの社会的役割に注目し、東京、奈良、福岡の3ヵ所で「臨床するアート」セッションを行いました。今、アートの取り組みもギャラリーや美術館だけではなく、医療や福祉等のケアの現場にむかうものも増えてきました。こうしたなか、どの会場でも、いろいろなぶんやのみなさんが関心をもって集まってくれました。東京では、エイブル・アート・ジャパンにて全6回の講座を予定していましたが、東日本大震災の影響で5回の開催となりました。しかし、毎回定員をこえる参加者が集まりました。そのなかから、第1回の様子を紹介します。 第1回のテーマは、「地域にひらかれた病院を創出するーアートとデザインの力」。講師は病院や発達障害支援センターなどへのアートの導入に取り組む、「やさしい美術プロジェクト」ディレクターであり、名古屋造形大学の教員の高橋伸行さんでした。やさしい美術プロジェクトは、2002年に「病気にある人の痛みや苦しみを受けてアートで何かできないか、アートやデザインの力をもって病院を地域に開かれた場にしていきたい」との思いからスタートし、現在高橋さんの指導のもと、名古屋造形大学の学生が中心となって、美術やデザインの専門性をいかし病院や療育施設にかかわっています。また、昨年度からは、瀬戸内海の大島にあるハンセン病患者の療養所、大島青松園でアートプロジェクトも行っています。高橋さんの発表のあと、医療関係者、福祉関係者、大学関係者を中心に約60人の方が参加されましたが、とても熱心な、そして鋭い質問が交わされました。こういったことをじっくりディスカッションしあう情報交換、議論の場が求められていることをあらためて感じました。(森下)
10 楽食だより
奈良市内に暮らすお年寄りや障害のある人にお弁当の配達を始めて、早12年がたちました。現在昼は1日平均90食、夜は25食のお弁当を配達しています。昼は週3日、たんぽぽの家のメンバーが配達スタッフと一緒に車に乗り、お年寄りに「待ってたよ・・・。」と声をかけていただき、お菓子までいただいて帰ってくることが時々あります。「地域を食で支える」ことを目的に、これからもメンバーの笑顔と共に配食サービスを続けていきます。(家令)
11 ケアの幸福はケアの土壌から 北海道「ケアする人のケア」セミナーに374人
「日々忙しく介護の仕事をしていますが、命の大切さを改めて感じられるひとときを過ごしました。優しい気持ち、強い意志、また仕事を続けていく力をいただきました」「制度や書類にとらわれず、人としてどう生きたいかを考えさせられました」。2月21日、札幌市内で開かれた「ケアする人のケア」セミナーに寄せられた感想です。参加者の内側から新しいエネルギーが沸いてきている様子が伝わってきます。ケアに疲れたとき、誰かが癒してくれるのも嬉しいけれど、自ら回復できる「土壌」をみんなでつくりたい──。企画に関わってくださった実行委員の皆さんの思いが、講演や映画上映、トークセッションや体験プログラムなど多彩な内容を通して、参加者の皆さんに伝わるセミナーになりました。(北田)
農学者の中井弘和さん。自然農の実践からいのちの循環についてお話いただきました。(写真:左)
ランチタイムコンサートでチェロを演奏する吉川(きっかわ)よしひろさん。聴覚障害のある音楽家として、ケアに対する思いをお話いただいたことも好評でした。(写真:右)
12 たんぽぽ人物図鑑
はじめまして4月からたんぽぽのメンバーとして働くことになりました、河野望です。今はHANAの方でショップや手織りなどいろんな仕事を見ながら、働かせてもらっています。 学生時代に自分で詩を作っていたので、仕事と両立しながら、たんぽぽのテーマソングを作りたいと思っています。
これからよろしくお願いします。 河野 望
寄付をいただいた皆様 寺川勝子さん、伊藤正明さん、ご協力ありがとうございました。