【レポート】松本国三×大江正彦 「 日書日描」展(天音堂ギャラリー)

 

文字とは踊るものなのか。       DSCF3976.jpg

そんなことを思ったのは、大阪・天音堂ギャラリーで開催中の松本国三×大江正彦 「 日書日描」展を観に行ったから。

 

普段私たちは、連なった文字を必死に追いかける。

文章から意味を読取るために。こんなにも文字に接しているのに、文字そのものを、見ることはほとんどない。文字の向こうの意味にばかり気をとられる。 

きれいに整列した文字は、意味伝達に徹するばかりで、踊らない。その姿は印象に残らない。

天音堂ギャラリーに並ぶ松本国三と大江正彦の作品は、そんな文字の、もうひとつの姿を私たちに見せてくれる。日めくりに書き連ねられた文字。囲まれたり、塗り込められたりした文字。 

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(左:松本国三さん作品 右:大江正彦さん作品)

それらは少し曲がり、カタチを変え、解読不能になっていく。わからぬままに眺めていると、その連なり、カタチ、色、そのものが、楽しくなってくる。
いつのまにか、意味を追うことを忘れ、見入ってしまうのだ。
それは、文字そのものに触れる体験であり、松本の、大江の、文字の経験に触れる行為だろう。

彼らによって、姿を表した文字、カタチは、意味を擦り抜けて、軽やかに踊っているように思える。いきいきと。

 
それは、きゅっとひかれた線が、ぎゅっぎゅっと塗られた色が、厚く重ねられ削られた絵の具が、そこで確かに画面に向かっていた作者の――そこに命を吹き込む人の、姿を思わせるからかもしれない。
そして、その作者に寄り添う人々の姿をも。

そう、それは、そこで、確かに行われたこと。日々の営みの、ひとつの表れなのだ。

 

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  松本国三×大江正彦 「 日書日描」展 8月23日~28日 

午後2時~7時 (ただし最終日28日は、午前11時~午後6時)

天音堂ギャラリー

関西ではじめて展示する作品も多数あるそうです。今週日曜日までです。まだ御覧になっていない方はぜひ!

天音堂ギャラリーへのアクセスはこちら→天音堂☆堂守コラム http://amanedo.exblog.jp/

(レポート:井尻貴子)

 

【報告】「エイブル・アート展 つながるアート」 可児市文化創造センター

可児市文化創造センターで2011年7月30日(土)から8月8日(月)まで開催していた「エイブル・アート展 つながるアート」 。

962人もの方にご来場いただきました。足を運んでくださったみなさま、どうもありがとうございました。

簡単に、展示の様子をご報告します。

 

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今回の出展団体は、ヨナワールド(名古屋市)、青い空(豊田市)、アトリエ裸虫(名古屋市)、エイブルアート・カンパニー(森豊和、石田匠永、阿山隆之)、可児市内支援学級児童のみなさん。

また、関連イベントとして、出展者の森豊和さんの「一筆書き」の技法を来場者とともに体験する
ワークショップを開催しました。
親子参加が多かったのですが、親よりも子どもたちが息をつめて集中していたのが印象的でした。

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来場者のみなさまからは、

「障害があることでストレートな感情や表現を隠すことなく思い切り感じることができて素晴らしいかったです!
子供たちにも沢山の絵を描いてほしいと思いました。」

「仕事でイラストを描いていますが、とてもとてもこの人たちの絵に比べてはずかしい気がします。
たまたま別の用事で来て、観させていただきましたが、とても良かったです。ラッキーな気分です。」

といった声が寄せられました。

*本展の巡回展「つながるアート~愛知・岐阜のアーティストたち」。たんぽぽの家アートセンターHANAギャラリーにて開催中です(2011年9月10日まで)。詳しくはこちらをご覧ください。http://tanpoponoye.org/info/2011/09/post-53.html

 

 (レポート:井尻貴子)

たんぽぽ通信 Vol.87

01 ひとめでわかる医療・福祉情報誌』完成フォーラム「終のすみかはどこ?――支えあいの地域づくり」

7月10日に奈良県橿原文化会館小ホールにて開催、300名近くの方にご参加いただきました。
ディスカッション「支えあいのネットワークをつくる」およびドキュメンタリー映画『9月11日』(理想とする介護を実現しようと、自ら施設を立ち上げた若者たちによるトークライブの記録)の上映を行い、参加者からは「終のすみかはどこなのかという問いは、自分にも問いかけられる問題としてあるのだということを知った」、「今日は楽しく聞かせていただきました。今までの事を思い出し、涙も出ました」といった感想が寄せられました。(井尻)

02 ケアする人のための参加型インターネット放送局「ケアラーズジャパン」がプレオープン!


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ケアラーズジャパンは、ケアの多様さ・豊かさを番組にして、思いを共有できるソーシャルメディアです。家族をケアする家族やケアの仕事をする人たちの癒しと回復を応援し、ケアに関心をもっている人たちがつながりあえる番組づくりと関係づくりをめざします。現在、プレオープン期間のキャンペーンとして、わたぼうし音楽祭の録画中継などもご覧いただけます。たくさんのアクセス、お待ちしています!(北田)

サイトはこちら→http://care-jp.tv/

 

 

03 エイブルアートセンターin韓国 オープン

 

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7月16日に、韓国・水原にあるエイブルアートセンターがグランドオープンしました。このセンター最大の特徴は、運営母体がキリスト教の教会であり、韓国国内ではじめてとなる、障害のある人がアート活動を行うアートスタジオやカフェが共存している点です。創作スペースは、

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アートセンターHANAをモデルにした絵画や陶芸の創作スタジオのほか、韓国内唯一のアニメーション映像制作の撮影スタジオまで完備!カフェスペースは、韓国中のカフェを訪れ厳選されたインテリアが美しい空間で、隣接する団地の住民の憩いの場となっていました。竣工式典には、教会信者、障害のあるメンバー、地域の住民など総勢約300人が集い、盛大なセレモニーが開催。日本からは、財団法人たんぽぽの家理事長播磨が祝辞を伝え、メンバー山野将志さんがアーティストとして活動する様子をスライドで紹介し、韓国で障害のある人がアートを通じて飛躍できる場所となることを願いメッセージを贈ってきました。(藤井)

04 東日本大震災におけるたんぽぽの家での復興支援について Vol.5

たんぽぽの家として行っていく震災支援の1つ、被災地の障害のある子どもたちの余暇活動支援に向けた研修を目的に4月11日?4月14日宮城県の仙台市に行きました。
仙台市にある関口怜子さんが主宰されている「ハート&アート空間 Be I」で活動しました。そこでは絵画やもの作りなど、多種多様な活動を通じて、子どもたちの表現力を引き出し、可能性や自立心を育てるワークショップが日々行われています。そこで、その時に行われていた絵画のワークショップに参加させてもらいました。参加していた子ども達は、時折地震の恐さを口にするものの、活動中は何気ない会話に笑い合い、思いっきり絵を描く事で発散している様子でした。関口さんは、子どもたちが自立的に表現出来る環境をとても大事にされていて、震災後もそれは変わらず実行されていました。ワークショップを通じて、子どもたちが知らないうちに溜めてしまっているストレス発散できる場、また日常の生活に戻れる時間の必要性を感じました。(三輪 竜郎)

05 今月のおすすめ!SHOP紹介

今月号では、たんぽぽの家のグッズを販売していただいているお店を紹介します♪
ロハスなセレクトショップ「ビオチェド」
滋賀県大津市比叡平3-21-23 TEL:077-529-0028
営業時間 11:00?18:00 定休日:日月曜(その他不定休)
「遠方からお越しの際は前もってご連絡下さると嬉しいです」とのことです。
http://biochedo.shop-pro.jp/
京都の百万遍から30分もバスに揺られて山を越えれば、滋賀ののどかな住宅街が広がります。下界よりも少し涼しいせいか、「遠くまで来た」気分にさせます。あぁ、京都と滋賀がお隣どうしなのは知ってたけど、バスでひょいっと行けるものなのですね。
比叡平のバス停から2?3分歩けば、「ビオチェド」と書かれた手づくりの看板と、四角くてかわいらしい民家が顔を出します。久しぶりに会う友達の家に遊びに来た様な感覚で、お茶をよばれ、店内に並んだ食品や珍しい民俗テイストの洋服や、施設・作業所でつくられた雑貨を手にとり、その場で試着までして、あっと言う間に2時間を過ごしました。
比叡山が臨める窓辺には、おしゃれバードとおしゃれにゃんが、いるんですよ。自分ちのように気持ちよさそうに外を眺めております。
今回写真はありませんが、これを読んで、色々と想像がふくらみましたか?百万遍からバスに乗って、ビオチェドさんでのひと時を、楽しんでみてください。そう、そして、店主のオガワヨシミさんともお喋りしてみてください。あれ、この人のこと、随分前から知っていた様な?と思うのではないでしょうか。(島)

06 彩葉サロン講演会「現代お墓事情あれこれ」開催のおしらせ

とき:2011年9月9日(金) 13:30 ~15 :40
ところ:奈良市西部公民館 第1・第2研修室
講師:十輪院 住職 橋本純信さん

ケアする人や広くケアに関心のある人たちが集い、学ぶ場として開催されている彩葉サロン。今回は人生のエンディングについての講演会です。
東向商店街で相談センターを開業しておられる十輪院の橋本純信住職に、最近のお墓やお葬式のこと、よりよく生きるための智慧についてお話しいただきます。誰しもいつかは辿り着く終着地のこと、ご一緒に学んでみませんか。
(お問い合わせ・お申し込み:たんぽぽの家 佐賀・松田美紀まで)

07 楽食だより

今回は、震災後懸念されている「海の放射能汚染はどうなっているのか」について少し触れてみたいと思います。
「セオリー」という雑誌に紹介されていたものを一部抜粋して紹介します。震災直後、東電の発表によると、原発2号機付近からだけで「すくなくとも4700テラベクレル(テラは1兆倍、ベクレルは放射線を出す能力の量)の放射性物質を含む高濃度汚染水が海に流出したと推定」される。原子力安全委員会は海に流された汚染水は拡散し希釈されるので、魚介に取り込まれる放射能は問題にするような量ではない、と言う。それに異を唱えるのは東京海洋大学名誉教授の水口憲哉氏だ。「コウナゴからの高い濃度の放射能が検出された問題ですが、あれは序の口です。海水が汚染されればプランクトンや海藻が汚染され、それを食べる魚が汚染される。コウナゴの次の段階として、ヒラメやスズキの放射能を計測し、そしてさらにカツオなど大型魚の内臓や筋肉中の放射能を検査対象とし始めましたが、ただし検出されるには時間がかかります。いまカツオやマグロを計測して大丈夫でも、半年後には蓄積量が上がっている可能性があります」
「神奈川から西の魚は大丈夫かというと、けっして安心できません。マグロやカツオは回遊魚なので、神奈川以西どころか日本中で検査が必要でしょう」「断固とした安全基準の設置しかないのです」
楽食サービスは、今後しばらく安全基準がはっきりするまで、わかめは韓国産に、魚は取引先である「七海水産」に毎回産地を確認し、悲しいことですが、日本近海のものは避けたいと考えております。
牛肉に関しましても、安全が確認されるまでは、オーストラリア産の肉を使用します。奈良産のものを入手できないかも検討していきます。日本の食を守りたいという気持ちは今も強く持っています。楽食サービスは国産の食材にこだわり、皆様に安心して利用していただいておりました。今後も基本となる考えはかわりませんが、「放射能」はほんとうにやっかいなものです。この問題を常に念頭に置き、私たちはどう行動していくべきか、信頼できる情報をしっかりと入手して、皆様に不安な気持ちをいだかせないように努力してまいります。ご質問等は、いつでもお受けします。(家令)

08 たんぽぽ人物図鑑

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財団法人 松田美紀(まつだみき)さん

5月から週に3日、財団で働かせていただいております松田美紀です。以前から「どうして日本にはケアをする人を支援する"しくみ"がないんだろう?」と思っておりました。「ケアを豊かにする」という意識で色々と学ばせて頂き、早くお役に立つことができるようになりたいと思っております。よろしくお願い致します。

 

 

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アートセンターHANA 佐藤拓道(さとうひろみち)さん

7月からHANAで働いています。佐藤拓道です。横浜から来ました。横浜では知的障害者施設で働きながら演劇活動もして来ました。演劇については知っていることも多いと思うので何かのお役に立てたらと思っています。パスタ料理が得意です。まだまだ不慣れですがどうぞよろしくお願い致します。

 

 

わたぼうし事務局 酒井のつぶやき

わたぼうし語り部塾編
小雨そぼ降る6月18日(土)、古い町並みが今なお残る奈良市の名所、ならまちにある音声館(おんじょうかん)で、わたぼうし語り部塾の発表会が行われた。
わたぼうし語り部は、障害のある人がその障害を個性として生かし、民話や創作童話、自分史などに自らの思いを重ね合わせ、聞く人の魂に働きかける表現活動である。たんぽぽの家の障害者アートのパフォーミングアーツ部門の取り組みとしては最も古く、1980年にはじまったたんぽぽ自由学校のお話し教室がきっかけというのだから、かれこれ30年を超えるロングランの活動だ。その後、「わたぼうし語り部学校」や専科コース、プロ養成コースをとおして、100名を超える語り部たちを世に送り出し、現在の語り部塾に至っている。
この語り部塾には、滋賀の田中徳吉さん、三原の阿部奈緒子さん、岩手の菊池洋平くん、大阪の大門由香ちゃん、そして、この春から晴れてたんぽぽの家のメンバーとなった河野望くんの5人の個性派が、年3回の合宿と通信講座をとおして語り芸を磨いている。この塾のおもしろいところは、芸を磨くだけでなく、生き方を学んでいるところだろう。重度の障害に加えて二次障害とも闘いながら、塾に参加することを生きる糧に、日々を調整している。だからこそ2泊3日という短い合宿では、寝る間を惜しんで練習に励み、芸を磨き、交流し、会話を楽しむ。わたぼうしの語りは身体全体を使い、存在をかけて語るのが神髄だが、彼らは自らの存在をかけて塾に参加している、日々生きていると言っても過言ではない。この度の発表会は、こうした一年間の集大成なのだ。
この塾生5名に、今回はたんぽぽの家の語り部プログラムのメンバー、十亀史子さん、そして、語り部塾の元塾生で、現在はストーリーテラーとして各地でお話しの世界をプレゼントしている小林サヤ佳さんが加わり、7名の語り部が極上?の語りを披露した。
彼らの語り・・・上手いか、というと上手くはない。下手か、というと下手ではない。どういったらいいのだろう、そう、味がある。時に甘く、酸っぱく、そして時に辛く、苦い。
トップバッターは田中徳吉さん、自作の物語「びわこの八月」で会場をやわらかい空気で包む。つづいて菊池洋平くん、東日本大震災で被災し、今なお心は揺れつづけている。彼の語り「海と灯台の本」は、震災の現実が重なり、聞く人の心を打った。大門由香ちゃんは、毎回いろんなキャラクターになりきる。今回はちびまる子ちゃん、会場を笑いの渦に包みこんだ。河野望くんは「へっぴりよめご」、わたぼうしコンサートで歌うボランティアとして活動しているからか、それとも日頃の練習の成果か、存在感が出てきた。そしてラストは阿部奈緒子さん、大好きな童話「ろくべえまってろよ」、絵画の個展を開くなど、語り以外のアート活動も行っているからか、表現力がついている。それぞれがそれぞれに成長しているのを感じた。不安と期待のなかで緊張しながらも語り終えたあとの彼らの安堵の表情、また、客席とのあいだに生まれる言葉に表わしがたい空気、これを宇宙観というのだろうか。こうした場面に遭遇できたのは、語り部の事務局を担うものとして何よりの喜びだ。
ゲストの民謡・河内音頭牧岡会の皆さんの河内音頭は、こうした舞台と客席のあいだの緊張感を解すだけでなく、祝祭としての発表会のフィナーレにふさわしい演出となった。満席だった客席の人たちに語り部たちが加わり、そして、なんと黒子の衣装を着たスタッフまでもがその輪に加わり、盆踊り会場に大変身。「盆踊りというのは、踊ることを強要する必要はない。日本人の心の中にある血が騒ぎ出し踊らずにいられなくなる。」という話しを誰かから聞いたことを思い出した。踊らずにいられない、語らずにいられない、歌わずにいられない、何かをせずにいられないという衝動、忘れてました。(酒井)

笑ってプロジェクト始動! ご支援ご協力を

笑ってプロジェクト

たんぽぽの家&ネットワークによる

東日本大震災復興支援活動です。

日々の出来事をこのブログからお伝えします。

私たちは、東日本大震災で被災した人たちを応援するために「笑ってプロジェクト」を実施しています。これまで取り組んできた市民活動をベースに、被災された方々の‘生きる力の取り戻し’を支えるためのプログラムです。共通して支援の向かうまなざしは、支援が届きにくいところや、特別なニーズがある人たちのところです。
たんぽぽの家と、支援活動のミッションに共感する国内外のNPOと協働していきます。だれもが自分らしく暮らすことのできる社会の実現をめざして、引き続きみなさんのご参加とご支援をよろしくお願いします。

財団法人たんぽぽの家、社会福祉法人わたぼうしの会、奈良たんぽぽの会

タイヨウプロジェクト

障害のある人のアートのちからで、被災地の障害のある人の“しごと”の復興を支援します。

タイヨウとは、太陽と大洋。私たちをあたためてくれるもの。育んでくれるもの。すべてを等しく照らしてくれる大いなる存在。タイヨウのように、人を元気にしたい。そんな気持ちを胸に、エイブルアート・カンパニーの 登録アーティストがそれぞれのタイヨウを描きました。

エイブルアート・カンパニーは、2007年の設立以来、障害のある人たちのアートを社会に発信し、仕事につなげるプロジェクトに取り組んできましたが、震災以後、社会の痛みに対し何かできないかと声をあげてくれたアーティストのその姿勢を大切に、活動を推進することとしました。

タイヨウのデザインが施された製品の販売を行う期間限定ショップの全国縦断とチャリティ作品展などを通し、多くの方に共感の輪を広げ、被災地の障害のある人たちの‘しごと’の復興に取り組みます。具体的には、福祉施設の製品の開発、パッケージ等のデザイン改訂、アトリエ活動の支援、専門家の派遣、商品販売の機会の開拓などです。

共催:NPO法人エイブル・アート・ジャパン(東京)、NPO法人まる(福岡)、ハート&アート空間ビーアイ(宮城)
企画:エイブルアート・カンパニー www.ableartcom.jp

言葉のちからプロジェクト

障害のある人の言葉(=詩)のちからで、被災した人たちの心のケアをめざします。

今、活字離れ、日本語の乱れなどから、「言葉のちから」が改めて注目されています。「言葉」を学ぶこと、「言葉」をとおして思いを伝えること、その繰り返しが人と人との絆を生み、豊かなコミュニケーションを図りながら創造的に生きることにつながります。

1976年から36年間にわたり、障害のある人たちの言葉(=詩)を歌う「わたぼうし音楽祭」を行なうなかで、私たちは自らの「言葉のちから」によって社会参加していく多くの障害のある人たちに出会ってきました。そして、その「言葉のちから」によって励まされ、元気づけられる多くの人たちと出会ってきました。

私たちは、こうした伝えるべきものをもつ言葉の達人たちの言葉(=詩)を詩集にし、被災地に元気を贈る「言葉のちから」プロジェクトを実施します。

企画:わたぼうしプロジェクト http://tanpoponoye.org/wataboshi_project/

あそびの時間プロジェクト

被災地の障害のある子どものあそびの支援活動をします。

被災した子どもたちの心のケアの重要性がクローズアップされるなか、被災地で障害のある子どもたちはどのように過ごしているのでしょうか。

たんぽぽ生活支援センターでは、学校でも家でもない第三の居場所で自分らしくのびのびと活動できる場所をつくりたいと、障害のある子どもたちとの活動に10年以上取り組んできました。

その経験をいかし、被災した障害のある子どもたちが、少しの時間でも思いっきり楽しみ、思いっきり笑い、家族もともにその場を共有できる“あそびの時間”をつくります。

共催:アドベンチャークラブ(宮城県石巻市)
企画:たんぽぽ生活支援センター
助成:日本財団ROADプロジェクト

※このほか、‘震災とケア’にかかわる研究、各種チャリティイベントなどを実施します。詳しくは、随時このウェブサイト上でお知らせしていきます。

私たちの活動をささえてください

「笑ってプロジェクト」で発信する各種のプログラムを支えるための基金を設置いたしました。どうぞご支援・ご協力ください。

笑って基金

受付口座

南都銀行
西ノ京支店(店番096) 普通預金 2043794
〔口座名〕「笑って」基金 理事長 播磨靖夫(フリガナ:ワラッテキキン リジチョウ ハリマヤスオ)
*南都銀行 本・支店からの振込手数料は無料です。他の金融機関からは振込手数料がかかります。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行からのお振込の場合
14580-13130091
〔加入者名〕笑って基金(フリガナ:ワラッテキキン)
*振込手数料はATMでは無料、窓口では有料となります。
ゆうちょ銀行
他の金融機関からのお振込の場合
四五八(読み:ヨンゴハチ)(店番458) 普通預金 1313009
〔口座名〕笑って基金(フリガナ:ワラッテキキン)
*所定の振込手数料がかかります。
  • 募金の場合、所得税・法人税の寄付金控除が受けられます。領収書が必要な方はお申し出ください。
  • ご協力いただいた皆様のお名前を、ブログや会報にてご紹介させていただきます。不都合のある方はお手数ですがお申し出ください。

寄付先のプロジェクトを指定することができます

振込人名義の前にプロジェクト番号を付け加えてお振り込みください。
タイヨウプロジェクト=1、言葉のちからプロジェクト=2、あそびの時間プロジェクト=3
(例:1ヤマダハナコ)

笑ってプロジェクト事務局

〒630-8044奈良県奈良市六条西3-25-4 たんぽぽの家 内
Tel:0742-43-7055 Fax:0742-49-5501
Email:waratte★popo.or.jp(★を@に替えて送信してください)

「言葉のちから」詩集掲載作品、決定!

障害のある人たちの「言葉(=詩)」で被災地域の方に元気を贈る「言葉のちから」プロジェクト。全国から149作品が寄せられ、選考委員の選考の結果、31点が決定しました。これに参考作品1作品をくわえ、計32作品を詩集に掲載します。

現在、9月末の詩集完成をめざし、制作に取りかかっています。そして仙台のアートスペースで活動する子どもたちに詩を読んで、イメージをふくらませもらい、絵を描いてもらっています。

事務局では、詩集を購入することで被災された方に元気を届けてくれる方、また被災された地域にお住まい・活動している方で詩集がほしい方や団体を募集しています。→詳しい内容はこちら http://tanpoponoye.org/info/2011/07/post-45.html

「言葉のちから」ツイッター @kotoba_project

「言葉のちから」プロジェクト 掲載作品(お名前の50音順 敬称略)

作品名 名前 地域 年齢
残った、残った、一本松… 有安政敏 大阪府和泉市 63歳
大切な日々 安藤朱美 東京都世田谷区 57歳
天使の羽 石井大心 新潟県柏崎市 20歳
カレーライス 井出孝二 長崎市 44歳
光る白鳥 枝松直子 東京都町田市 36歳
青い空が見えないけど 大橋邦男 山口県周南市 52歳
託された夢のために 大家 涼 神奈川県秦野市 17歳
地球の時刻 尾崎航太 埼玉県所沢市 28歳
ひとすじのひかりから 金子美智 福島県伊達市 36歳
早く帰ってきて 北市蔦子 愛知県名古屋市 69歳
東北へ 木下美樹枝 佐賀県佐賀市 35歳
つながり 小林 聡 大阪府大阪市 45歳
覚醒の刻限 佐々木武 宮城県登米市 33歳
すべて無くした 関根 茂 栃木県足利市 66歳
ちっちゃいはる 田中徳吉 滋賀県野洲市 58歳
ないていいんだよ 富谷和馬 岡山県新見市 49歳
いわれたくないコトバ 中村田鶴子 青森県八戸

アツい夏にアツいTシャツを!  アツアツTシャツ展vol.2

 

atsuatsu_t_shirt_voi2.2.jpgアツい夏にアツいTシャツを!   アツアツTシャツ展vol.2

会期:2011年7月16日(土)?8月10日(水)

11:00?17:00 日・月は休館 ※8月7日(日)はオープン

会場:たんぽぽの家アートセンターHANAギャラリー

アクセス http://tanpoponoye.org/access/


全国から“楽しく、おもしろく、クール”なデザインTシャツをセレクトし、販売する企画展です。オリジナルイラストのシルクスクリーンプリント、手織りが装飾のTシャツなど、50種類以上(2,000円?)のTシャツが集合します。また、東日本大震災の被災された障害のある人の復興支援につながるTシャツが会期中に登場します。


 

企画に関するお問い合わせ先

たんぽぽの家アートセンターHANAギャラリー(担当:藤井、島)

「エイブル・アート展 つながるアート」 可児市文化創造センター

 

平成23年度 可児市障がい者アート特別啓発事業
「エイブル・アート展 つながるアート」 

会期:2011年7月30日(土)?8月8日(月)

10:00?19:00 火曜休館 

会場:可児市文化創造センター・美術ロフト [入場無料]

アクセス http://www.kpac.or.jp/access/index.html


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©MORI Toyokazu/Able Art Company


可児市と(公財)可児市文化芸術振興財団では、 障がいのある人の可能性(エイブル)に注目した展覧会を開催します。
全国で高い評価を得ている作品と共に、市内支援学級児童作品も同時展示します。 会期中は、ポスターサイズにした作品で遊ぶ企画やグッズ販売、シンポジウムも開催します。 アートと人と"つながる"展覧会をご堪能ください。

[作家来場日]7月31日(日)森 豊和さん(大垣市在住)

出展団体:ヨナワールド(名古屋市)、青い空(豊田市)、アトリエ裸虫(名古屋市)、エイブルアート・カンパニー(森豊和、石田匠永、阿山隆之)、可児市内支援学級児童

●展覧会のチラシはこちらからダウンロードしていただけます  チラシ表  チラシ裏


*関連企画<ミニセミナー:対談>「障がいのある人の創造性と可能性」


ゲスト:播磨靖夫さん(財団法人たんぽぽの家の理事長)
司会・進行:衛 紀生(可児市文化創造センター館長兼劇場総監督)

8月5日(金)18:30-20:30 演劇ロフト [入場無料]

展覧会関連企画として、より障がいのある人の創造活動について、理解を深め、情報交換を目的に、対談を行います。この機会に、障がいのある人の表現と作品を通じた社会参加について一緒に考え、視野とネットワークを広げてみませんか。

可児市文化創造センターのウェブサイトはこちら

 


主催:可児市
実施:(公財)可児市文化芸術振興財団 
企画:財団法人たんぽぽの家
協力:エイブルアート・カンパニー、NPO法人エイブル・アート・ジャパン

お問い合わせ:可児市文化創造センター・インフォメーション  TEL 0574-60-3050(9:00-19:00)

 

第36回わたぼうし音楽祭「あなたの明日へ エール」

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日時:2011年8月7日(日) 開場13:30 開演14:00 終演17:00

場所:奈良県文化会館国際ホール
料金:一般 2500円 高校生以下1500円(当日は、500円増)
主催:奈良たんぽぽの会
※チケットのお求めは、wataboshi@popo.or.jpにメールにて、お名前・ご希望枚数等お知らせください。当日窓口でご用意させていただきます。
またローソンチケット(tel.0570-084-005、もしくはLコード 59366)でもお求めいただけます。
 
 
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わたぼうし音楽祭は、今年36回目を迎えます。

夢や希望を詩に託す障害のある人がいて、その詩に心動かされ歌う人がいます。いのちを歌い、未来を歌うわたぼうしの歌声は、人々の共感を呼び、日本中に、世界中に広がっています。

障害のある人たちが書く詩には、不思議な力があります。人々を勇気づけ、心を癒し、奮い立たせる特別な力があります。

2011年夏、障害のある人たちの歌をとおして、わたぼうしは、ニッポンの明日へエールを贈ります。

 

♪第36回わたぼうし音楽祭・発表作品はこちら

→ http://tanpoponoye.org/info/2011/05/nbs.html

 

♪ゲスト1―「第1回韓国わたぼうし音楽祭」優秀賞受賞作品を紹介します。

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今、わたぼうしの歌声は世界中に広がり、わたぼうしスピリッツは世界の合言葉になりつつあります。

2010年、その思いは風に乗って飛んで行き、韓国・スウォンで根をおろし「第1回韓国わたぼうし音楽祭」として、きれいな花を咲かせました。わたぼうしの歴史に新たな1ページを刻んだのです。

今回は、この音楽祭で優秀賞を受賞した曲を招待作品として紹介します。

♪ゲスト2ー「ひかり園音楽祭」が元気に登場します。

 奈良県大和郡山市にある「ひかり園」のメンバーが、マリンバ奏者・松本真理子さんをはじめ、若手の演奏家たちとともに、元気な舞台をお届けします。お楽しみに!

 

♪特別企画 明日へエールを贈ります。

東日本大震災で被災した人々に元気を贈る「言葉のちから」プロジェクトを実施します。わたぼうしの詩人たちから寄せられた希望の詩を紹介することで、明日へエールを贈ります。

 

?ボランティアを募集します。

私たちは、企画、運営、広報、ポスター貼り、プログラム編集、チケット販売、舞台演出など、知恵や経験をいかして、一緒に楽しみながら思いを共有してくださるボランティアを募集しています。詳しくはwataboshi@popo.or.jpまでお問い合わせください。

わたぼうし音楽祭をインターネットライブで見よう!

Carers Japan Broadcasting LIVE online

2011年8月7日(日)午後1時30分?

 

ケアラーズジャパン画面イメージ

 

わたぼうしポスターイメージ

ケアする人のための参加型インターネット放送局
「ケアラーズジャパン」が、
第36回わたぼうし音楽祭をライブ中継!

いのちを歌い、未来を歌うわたぼうしの歌声が、あなたの明日へエールを贈ります。音楽祭終了後も、録画中継として繰り返しご覧いただけます。たくさんのアクセス、お待ちしています!

ケアラーズジャパンとは

ケアラーズジャパンは、ケアの多様さ・豊かさを番組にして、思いを共有するソーシャルメディアです。ケアする家族やケアの仕事をする人たちの癒しと回復を応援し、ケアに関心をもっている人たちがつながりあえる番組づくりと関係づくりをめざします。

 

Wataboshi LIVE online!

The live streaming of Wataboshi Music Festival will be brought you over the internet, so you can enjoy it at the same time wherever you are!

 

The 36th Wataboshi Music Festival

Start at 1:30 pm on August 07, 2011 (Japan standard time)

Visit to http://care-jp.tv/

The Wataboshi Music Festival is one of the grandest event in the year for Tanpopo-no-ye. In the 36th festival this time, 8 teams from various towns in Japan will sing a song written by people with disabilities. In addition, you will see the exciting attraction performed by our special guests.

The songs of Wataboshi sing life and sing the future. The songs will send the yell for your tomorrow. Have fun with your family and friends!

After the Music festival ends, you can play the recorded live repeatedly.

臨床するアート――いのちの現場に向かうアートの可能性


医療や福祉、さらには社会的な課題をかかえる地域コミュニティなどで、アートの力が着目されています。それらは、人と人をつなぐ、人と地域をつなぐ、そして人を癒し、元気づける、芸術文化の可能性をいかす実験的な取り組みです。
たんぽぽの家では、文化庁の助成を受け、今年度こういったアートの社会的役割に注目し、東京、奈良、福岡の3カ所で「臨床するアート」セッションを行っています。

東京での連続セッションがスタート

東京では、6回のわたり、毎回一人ずつ先進的な取り組みを行う方をお招きし、レクチャーとディスカッションを行う連続セッションが、1月よりスタートしました。すべての回のコーディネーターは、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所特別研究講師の坂倉杏介さんです。
第1回のテーマは、「地域にひらかれた病院を創出する――アートとデザインの力」。講師は病院や発達障害支援センター等へのアートの導入に取り組む、「やさしい美術プロジェクト」ディレクターであり、名古屋造形大学の教員の高橋伸行さんでした。
最初に1時間、高橋さんより、やさしい美術プロジェクトについてお話しいただきました。
やさしい美術プロジェクトは、2002年に「病気にある人の痛みや苦しみを受けてアートで何かできないか、アートやデザインの力をもって病院を地域に開かれた場にしていきたい」との思いからスタートし、現在高橋さんの指導のもと、名古屋造形大学の学生が中心となって、美術やデザインの専門性をいかし病院や療育施設にかかわっています。
病院への見学や患者へのインタビュー、病院職員との研究会を通して、病院にどういったアートがふさわしいかを丁寧に議論を重ね、その場にふさわしいと考えられるアートのかたちを提案します。
毎回、学生、大学側、そして病院側、またアートの専門家等によって活動を評価することで、次回への取り組みに反映させていくことも、学生にとって大きな学びであり、病院側にとっても大きな意味をもたらしています。
今回、高橋さんから紹介されたプロジェクトの一つは「足助アサガオのお嫁入り」でした。これは、愛知県の足助病院の患者さんを元気づけてきたアサガオを擬人化し、新潟県の十日町病院にお嫁入りさせるという催しを行うことで、遠く離れた愛知県と新潟県の病院の交流が生まれることを意図し企画されたものでした。
また、2010年の夏に瀬戸内芸術祭の一環として開催した、瀬戸内の大島にあるハンセン病の人たちの療養所、大島青松園でのアートプログラムについても報告されました。1回だけではなく、何度も島に足を運んでもらいたいとの意向から考えられた5回の企画展、また島の人と訪れる人の交流の場ともなったカフェなど、人と人、人と記憶が混じり合うアートの実験が行われました。
アートを持ち込む場が異なれば、一度として同じ取り組みはなく、毎回毎回、真摯に現場に向き合うなかで生まれてくるアートのあり方があるということが、印象的でした。

熱心なディスカッションの場

その後、坂倉さんのコーディネートで参加者のみなさんも交えてディスカッションが行われました。今回は、医療関係者、福祉関係者、大学関係者を中心に約60人の方が参加されましたが、とても熱心な、そして鋭い質問が交わされました。「療養型の病院と急性期の病院では、作品も異なるのか?」「病院や福祉施設等でのアートの効果測定は意味があるのか?」「こういった活動がひろがっていくためには、全国的なムーブメントが必要か?」などなど。高橋さんからは、病院によって作品が異なること、効果について考えることも求められていること、同じような取り組みを行っている人たちとの情報交換も必要であることが提案されました。
たんぽぽの家では、1990年代の中ごろから、病院や福祉施設でのアート活動に注目し、調査を行ってきましたが、各地でさまざまな実験が行われ実践されていくなかで、ケアの現場でのアート活動をささえる仕組み、そしてその評価といったことが、共通の課題としてあがっていることを実感しました。そして、こういったことをじっくりディスカッションしあう情報交換、議論の場が求められていることをあらためて思いました。
第2回以降も、ダンスアーティスト、美術家、福祉施設長、映像作家、そして編集者等、さまざまな講師、参加者とともに、議論を深めていきたいと思います。
 東京での連続セッションは、うれしいことにすでに定員に達しましたが、2月には奈良で、そして3月には福岡で開催します。ケアの現場に、そしてコミュニティにはたらきかけるアートの新しい可能性について、参加者のみなさんと一緒に議論していきたいと思います。みなさまのご参加お待ちしています!


※事務局注:以下は奈良と福岡でのセッションのご案内です。

「臨床するアート」奈良セッション

2月19日(土)20日(日)@たんぽぽの家アートセンターHANA(奈良市)
「アウトリーチとインリーチ」、「いのちの現場に向かうアートの可能性」をテーマに2日間にわたって開催します。「アウトリーチはソーシャルマーケティング」「小児科病棟におけるミュージアム活動の取り組み」や「高齢者施設におけるダンスの取り組み」「公共文化施設のアクセシビリティ」など、実際にケアの現場で、そしてコミュニティでどのようにアートの活動が行われているのかを共有し、みなさんとともに課題や可能性をディスカッションします。

⇒詳細はこちらまで

「臨床するアート」福岡セッション

3月5日(土)@九州大学 病院キャンパス 総合研究棟(バイオメディカル・リサーチ・ステーション)セミナー室105号・サイエンスカフェ
詳細は後日当ホームページにて掲載します。


(さらに…)

志を共有する――「福祉をかえる『アート化』セミナー」


「障害のあるアーティストも参加する(2009年のセミナー)」


「分科会ではテーマごとにディスカッションをする(2009年のセミナー)」


「オリジナル作品を使っての保存・額装の演習をする(2009年のセミナー)」

2002年より、福祉施設のアート化に興味がある人が毎年約100名ほど奈良に集まり、セミナーを開催しています。
「アートは人間を幸福にする」という考えのもと、たんぽぽの家はアートセンターHANAを拠点に障害のある人のアート化をすすめてきました。
全国的にも障害のある人の表現が注目されるようになり、各地の福祉の現場でもアート化をそれぞれの信念、方法でアート活動を進めたり、アートをキーワードにしたさまざまな取り組みがされるようになりました。この取り組みを、これから施設や地域でアート活動をしたいという人や、すでに活動を始めているが何らかの行き詰まりを感じているという人たち、学生、美術関係者、教育関係者など多様な現場の人たちと共有し、参加者が日々の活動に活かすことをセミナーの目的としています。

プログラムの内容はさまざま。「現代社会において『アート』はどんな意味や可能性をもっているか」という根本的な問いかけや、創作に必要な環境、体制、資金づくり、作品の保存やアウトプットの方法などを学ぶ機会を設けたり、近年では市場化、流通に関してその道のプロフェッショナルを招き、多様な視点で障害のある人と表現について考えてみるなど、参加者のニーズに合わせ、毎年トピックを変えながら運営をしています。

最近では嬉しいことに、初期のセミナー参加者が活躍の幅を広げ、講師として「伝える立場」になったり、参加者同士が意気投合して独自のプロジェクトに取り組りくむ、ということが起きています。
今年は飛躍の年でした。12月11日(土)、12日(日)と、埼玉県の第二回障害者芸術祭の一環として浦和市にある埼玉県立近代美術館でアート化セミナーを開催しました。50名の定員に100名を超える参加者が集まり、アート化にまつわる議論が活発に行われました。企画した私たちもその熱気に驚きました。

2011年1月にの奈良で開催するセミナーのテーマは「アートの力とデザインの力」です。
表現活動を社会にアウトプットしたり、商品化するときに「デザイン」は欠かせませんが、デザインを単に情報を整えたり見た目をよくするのではなく、「ものごとを解決する力」と考えるデザイナーの奥村昭夫さんから基調講演をしていただきます。実践報告として株式会社伊勢丹バイヤーの上野拳さん、鹿児島の工房しょうぶ施設長の福森伸さんから人、デザイン、仕組みについて具体的にお話を伺います。もちろんアート化に関する事例報告やディスカッションも盛りだくさんですので、ぜひともふるってご参加ください。

詳細はこちらからご覧ください。


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まちの情景をかえる――プライベート美術館


「難波神社での展示風景 2009年12月」


「URBAN RESEARCH DOORSでの展示風景 2009年12月」


「45Rでの展示風景 2009年12月」


「Motherhouseでの展示風景 2009年12月」

障害のある人のアート作品の魅力を発見して楽しんでほしい。美術館やギャラリーだけではなく、まちのなかの、人々の生活のなかにあって、もっと多様な楽しみをたくさんの人に伝えたい……。そんな願いからプライベート美術館はスタートしました。これまで、関西を中心に商店街やまちのショップ、そして企業の社屋や営業所など、さまざまな生活空間を彩ってきました。
プライベート美術館には、はじめに「お見合い」というプロセスがあります。たくさんの多様な作品と出会ってもらい、ショップの店長さんが、企業で働く新人スタッフが、自分たちがふだん働く空間にどんな作品があったらお客さんが喜んでくれるだろうか、スタッフはもっと楽しく働けるだろうか、と想像しながら、作品を選ぶものです。直感で選ぶ人もいれば、何時間も悩んで決める人も。
そうして作品が飾られたとき、いつもの空間が少し違って見えたり、作品を通して人と人とのあいだにおしゃべりが生まれたり……。障害のある人のアート作品を通して、生活空間やまちに温かなコミュニケーションがうまれてほしい。そんな想いで開催しています。

そして、この冬も昨年に引き続き、大阪・南船場でプライベート美術館がオープンします。14作家の約50点の作品と、プレゼントにもぴったりなグッズなどが、アパレルショップやカフェ、本屋さんや雑貨屋さん、神社などに登場します。お気にいりの作品をみつけに、ぜひおでかけください。

  • プライベート美術館@大阪南・船場
  • 2010 年12 月1 日(水)~ 12 月25 日(土)
  • 主催:財団法人たんぽぽの家  
  • 特別協力:難波神社、Re:S  
  • 協力:エイブル・アート・ジャパン、船場アートカフェ、特定非営利活動法人まる
  • 企画・構成:エイブルアート・カンパニー
  • アートディレクション:DAISUKE SUZUKI DESIGN
  • 詳細はこちらまで


障害者アートと「贈りもの文化」

川上文雄(奈良教育大学教育学部 教授)

私のよく知る木村昭江さんのイラストが靴下の図柄に採用された。パンフレットの写真のかわいらしいこと。必ず売れると確信していたら、そのとおりになった。商品開発、マーケティング、販売の仕事もしっかりしていたに違いない。子ども用のサイズを作れば、「孫への贈りものに」などと、大いに人気がでるかもしれない。障害者アートの商品は贈りものに最適であると思う。私自身、勤務する大学で定年退職を迎える教員に、書からとられた文字をデザイン化した手ぬぐいを贈っている。障害者アートの人気が高まり売り上げが伸びれば、まことに喜ばしい。しかし、私はそれ以上のことを望んでいる。
望むのは次のことだ。障害者アートによって、アートがこれまでの狭い枠から自由になり、新しい発見、そして楽しい出来事と出会いに満ちたアートになっていくこと。商品が贈りものとして使われるだけでなく、障害者アートが「贈りもの文化」をつくりだす出発点になること。つまり、障害者アートへの関わりが、いろいろな「贈る行為」を楽しむ活動になること。ちなみに、このような贈りもの文化は、商品開発、マーケティング、販売における発想の種または土壌にもなるのではないだろうか。

贈りもの文化を考える手がかりが「プライベート美術館」にある。そこでは、一人ひとりが自分で作品を選び、展示し、見に来る人に楽しんでもらう。これは、ものを買ってだれかにあげるという意味での贈りものではない。しかし、そこには確かに「贈る」行為がある。そして、その行為がもたらす充実感は、障害者アートからの贈りものである。
2009年の11月末、神戸での障害者アート関連フォーラムの終了後、エイブル・アート・カンパニーのスタッフが、「プライベート美術館@南船場」に、私ともう一人の参加者を誘ってくれた。そのスタッフのガイドで、大阪・南船場をめぐった。私には初めての南船場の夕暮れ時、難波神社の塀にはカンパニー作家の大きな絵馬が並んでいた。出会う人、そして風景、それらはガイドしてくれた人からの贈りものである。そして、この界隈を普段とは異なる特別な場所に変えてくれたことは、障害者アートからの贈りものである。参加の店のひとつでハンカチを四点、贈りもの用に買った。そのなかに、よく知る作家の作品をデザインしたものがあった。障害者アートからの贈りものを受け取り、だれかに贈る。そのつながりの結び目に私がいる。
私は授業の一環として障害者アートの展覧会を市内のギャラリーでおこなってきた。「プライベート美術館」と同様に、学生たちそれぞれが、自分にとってとくに大切な1点を選ぶ。そして、それに感想を添えて展示するのである。出展の依頼文を書くこともある。事情があって作品を借りられない場合は、アーティストに会いにいき、作品を見せてもらったこともある。作品がとりもつ縁で、人と人(人と場所)のつながりができていく。
障害者アートに関わり続けていくなかで、時間を費やすことが無理なく自然にできるようになっていった。展覧会のために作品を借りるとき、たいていは郵便やメールで済ましてしまうけれど、そうしないで、直接受け取りにアーティストと家族に会いにいくこともある。私の住む奈良市からかなり離れた京都府の福知山市にも行く。特急を避け、ほぼ各駅停車の列車にのり、20年間読まずにいた文庫本を開きながら、そして車窓からの景色をながめながら。(この本、もっと早く読めばよかった!)福知山は私を歓待してくれた大槻修平さんとそのご両親のいる特別なまちになった。この1日がかりの楽しく有意義な旅は、障害者アートからの贈りものである。展覧会の時間と場所だけがアートではない。
「プライベート美術館」がさらに活発になることを願っている。贈りものを心から楽しむことは、贈った人への贈りものである。贈られたものに触発されて新たな試みをめざすことは、贈りものである。私は大学教員であるので、教育現場での試みを模索しながら「贈りもの文化」を生きていきたい。「(損なわれていない)人間同士のつながりはそれ自体一つの贈り物である」(アドルノ『ミニマ・モラリア』 三光長治訳49頁)。

(ABLE ART DESIGN BOOK 2010より転載)

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