今、地域や社会の中で信頼しあい、お互いさまと思い合える、 豊かなつながりを育むことの大切さが問われています。 一方で、ケアという営みは、日常的に誰かを支え、また誰かに支えられながら生きて、 お互いが気づかい関わり合うことで少しずつ幸福になっていく行いです。 私たちは、誰もが支え合いながら人間らしく生きられる社会を「ケアリング・ソサエティ」と考えています。ケアリング・ソサエティを実現していくためには、医療や看護や福祉のみならず、 芸術、科学、技術、デザイン、ビジネスなど、 さまざまな人たちと考え横断的に協働しあうことが必要になります。 このセミナーでは、人の痛みや哀しみに寄り添う活動、 誰かをケアしている人を支える実践、 地域や分野を越えて協力しあう取り組みなど、多くの考えと実例に耳を傾け、ケアリング・ソサエティの実現に向けて学び、語り合いたいと思います。
セミナー概要
■ 日時 2023年3月19日(日曜) 10:00~17:00 (受付:9:30~)■ 会場 岐阜市文化産業交流センター「じゅうろくプラザ」 ホールおよび会議室、研修室 〒500-8856 岐阜市橋本町1-10-11 周辺アクセス:http://plaza-gifu.jp/access/ ■ 参加費 無料■ 定員 200名 ※先着順のためお申し込み が必要です■主催 一般財団法人住友生命福祉文化財団、一般財団法人たんぽぽの家■運営主体 「ケアする人のケアセミナー in 岐阜」実行委員会■お問い合わせ ①「ケアする人のケアセミナー in 岐阜」実行委員会事務局 〒502-0907 岐阜県岐阜市島新町5-9 いぶき福祉会 TEL 058-233-7445 Fax 058-232-9140 ②「ケアする人のケアセミナー in 岐阜」奈良事務局 〒630-8044 奈良県奈良市六条西3-25-4 TEL 0742-43-7055 Email carecare@popo.or.jp
プログラム一覧
登壇者
10:15~11:15 講演/いのちの世話:その1メディアを通したケアのコミュニケーション ~身の回りの小さなケアに目をむけよう~
ケアの現場では、ケアする人とされる人のあいだで多様なコミュ ニケーションが発生します。 もちろんケア・コミュニケーション は、現場以外でもみられます。 私たちの周りにはインターネット、 神社、広場、 食など多様なメディア空間があり、そこがケア・コミュ ニケーションの大切な実践の場となります。 ここでは、私たちが、日頃、気づかずに見過ごしている身の周りの 小さなケアという足跡に目を向けます。 人と人、人と社会、 あるい は人と人以外のモノをつなげるコミュニケーションの事例をみな がら、有機的なつながりを実現するメディアやケア・コミュニケー ションのあり方を一緒に考えましょう。
金山 智子 情報科学芸術大学院大学 [IAMAS] 教授 文化や生態や災害の視点から、 地域コミュニティとコミュニケーショ ン、市民のエンパワーメントとメディアをテーマに長期的な研究を行 う。 近年は記憶、レジリエンス、ケアをキーワードに、フィールドワーク や実践プロジェクトを通して、持続可能な社会のあり方について探求 している。
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11:15~12:15 講演/いのちの世話:その2対談「賢治の幸福観と利他の精神」 吉成信夫×播磨靖夫
技術の発達、 自然災害や戦争、コロナ禍など、さまざまな物事が個人と世界のつながりを大きく変化させています。 東日本大震災の 十三回忌を迎え、宮沢賢治が「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」 と 「農民芸術概論綱要』に書いてか らもうすぐ百年を迎える今、賢治の視点を通して自分や他者の幸福について問い直します。 そして、お互いが幸福になっていくた めの利他の精神を深め合いたいと思います。
吉成 信夫 みんなの森ぎふメディアコスモス 総合プロデューサー 岩手で石と賢治のミュージアム研究専門員として同館の開館に関わ る。2001年葛巻町の協力を得て、廃校を利用したエコスクール 「森と 風のがっこう」開校。 岩手県立児童館 「いわて子どもの森」 初代館長、 岐 阜市立図書館長を経て、2020年5月から現職。
播磨 靖夫 一般財団法人たんぽぽの家理事長 新聞記者を経てフリージャーナリスト。 「わたぼうしコンサート」を生み「エイ ブル・アート・ムーブメント(可能性の芸術運動)」を提供、1999年からケアの 文化の創造をめざして 「ケアする人のケア」に取り組む。 平成21年度 「芸術選 奨文部科学大臣賞 芸術振興部門」受賞。令和4年度文化功労者に選出。
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13:15~14:30 連続報告会「ケアする人のケア」これまでとこれからの実践
「ケアする人のケアセミナー in すわ」で副実行委員長を担われた藤森るりさんが当時を振り返るとともに今を語ります。 また、岐阜において食の可能性を追求している平塚弥生さん、「ともに生きる社会」づくりを展開する古澤由加里さんが実践事例を語ります。
実践事例報告 ① 藤森 るり ケアする人のケアセミナー inすわ 副実行委員長 / ケアケアカフェ主宰 「ケアする人のケアセミナー inすわ」開催後、ケア する人のケアの大切さを実感し、ケアする人もケ アされる人も誰もが参加でき、ともに助け合いな がら生きられる地域社会をつくろうと、ケアケア カフェ「シスルの会」を発足。 地域の子どもや高齢 の人たちとともに、主に臨床美術体験を通して ジャンルを越えた世代間交流を図っています。
実践事例報告② 平塚 弥生 株式会社Coneru 代表 「ちょいみせキッチン」や「おくのキッチン」と いうシェアキッチンを通して、人や地域をつ なげる「食」というメディアの可能性を追求し ています。 コロナ禍で黙食や孤食が増加する 中、何を考え、どのように新たな 「共食」のか たちを見出そうとしているのかを語ります。
実践事例報告③ 古澤 由加里 NPO法人ひだまり創 理事長 高齢である、障害がある、子育て中・・・ 人はそ それぞれ生きている環境や条件が違います。支援する側とされる側に分けるのではなく、必 要な支援は受けながら、得意な部分では支援する側にもなれる、一人ひとりが誰かに必要とされ、人生の主役になれる、「ひだまり創」がめざすともに生きる社会を語ります。
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分科会(14:30~16:15)
※分科会①~④のいずれかを選択してください。受付先着順のためご希望に添えない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
病気や災害など、予測できない出来事によって当たり前の日常が失われてしまうことがあります。そうした状況においても小さな声に耳を傾け応答しつづけることで、地域や人が生きる力を取り戻していく取り組みを紹介しながら、元の姿に戻るのではない回復のありようをお聞きします。
報告① 平田 節子 医療法人かがやき・総合プロデューサー 「かがやきロッジ」は、在宅医療専門 「総合医療クリニック」の建 物の名称である。 医師や看護師、事務スタッフが執務するス テーションだが、「町の保健室」であり、患者が外出する「目的地」 であり、患者家族のための「相談室」、他職種のひとの「コワーキ ングスペース」、国内外の研修や視察を受け入れる 「学校」でも ありたいと考えている。 2019年グッドデザイン賞金賞受賞。
報告② 田口 ひろみ NPO法人ポラリス代表理事/ 精神保護福祉士/社会教育士 東日本大震災によって甚大な被害を受け、 誰もが生きる力 の取り戻しが必要となった宮城県山元町で、 「障害のある 人もない人も共に素敵に生き・はたらく」をテーマに、生涯 学習を通じたソーシャルワークに取り組り組んでいる。
コーディネーター 森下 静香 Good Job! センター香芝 センター長 たんぽぽの家にて、 障害のある人の芸術文化活動の支援、 医療や福祉などのケアの現場におけるアート活動の調査 研究を行う。 2012年よりアート、デザイン、ビジネス、福祉 この分野をこえてあたらしい仕事を提案するGood Job! プロ ジェクトに取り組み、2016年度グッドデザイン賞金賞受賞。
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働くことは、「苦役」になることもあれば、その人の社会とのつながりを生み、「生きがい」になることもあります。この分科会では、地域に住む多様な人々が生きがいをもって働くことを、地域文化を持続可能にしていく仕組みにつなげている実践者の取り組みを知り、人はなぜ働くのか、働くことからみえてくるものを考えます。
報告① 古田 菜穂子 岐阜県教育文化財団芸術文化アドバイザー / tomoniつながるプロジェクト統括ディレクター 日本の風土と日本人の肌に一番なじむ繊維である「和綿」を育て、糸にし、布にしていく過程の中で、アート、デザイ ン、ビジネス、福祉、農業の分野をつなぎ、新たな出会いと仕事が生まれる場づくりをめざしている。毎年春にワーク ショップを行い、オリジナル製品を開発している。
報告② 吉田 修一 NPOまる 施設長 小さな福祉作業所に就職し、そこを引き継ぐかたちで1997年に「福祉作業所工房まる」を開設。障害のあるメンバー一人ひとりの表現が、その人の生き方を豊かにし、周囲の人に力を与え、地域や社会を変える力になることを体感したことが、工房まるがアート活動を続ける力となっている。
コーディネーター 柴崎 由美子 NPO法人エイブル・アート・ジャパン 代表理事 「たんぼぼの家アートセンターHANA」のディレクターを経て、障害のある人のアートを社会に発信し仕事につなげる「エイブルアート・カンパニー」事務局、 中間支援に特化するNPO法人エイブル・アート・ジャパン事務局を歴任。東日本大震災後は、故郷・東北に活動拠点をうつし、文化・福祉・教育・産業を横断した活動を行っている。
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コミュニティ、共同体、支えあいや助けあい、その大切さや必要性は自明かもしれません。ただ、生活する時間の流れも住んでいる場所も別々で、生きたい目的も異なる人たちが、どうやって似たような想いを寄せ合いながらコミュニティを生みだし、継続できるのでしょうか。デザインやテクノロジーを通して支え合いのつながりを生み出している事例から、ヒントを見つけます。
報告① 林 園子 一般社団法人リハビリテーション研究会代表理事/ファブラボ品川ディレクター/作業療法士 3Dプリンタなどのテクノロジー機器の福祉分野での活用イベントを日本各地で開催し、「つくる人」と「データ」をつなぐ役割を担っている。2018年より作業療法士としてファブラボの運営に参画し、誰もがデジタル工作機械を使ってくらしをよくする道具づくりができる場をつくっている。
報告② 末永 三樹 株式会社ミユキデザイン 代表取締役 設計事務所勤務を経て2012年「ミユキデザイン」設立。「あるものはいかそう ないものはつくろう」を理念に、建築的な視点をもって「まちをアップデートし、次世代へ手渡す」ことをめざし、大小さまざまな設計、デザイン、企画・プロ モーションなどを包括的に考え実践している。
コーディネーター 小林 大祐 Good Job! センター香芝 スタッフ アート・デザイン・福祉などの領域を超えて仕事を生み出す「Good Job! センター香芝」に所属。 テクノロジーと芸術 とケアのこれからを考えるプロジェクトを、全国各地のエン ジニアや研究者と協働しながら進めている。
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分科会④ てつがくカフェ ~人が人として生きられる社会とは~ *定員を締め切ります
聞く側から語り合う側へ・・・。「人が人として生きられる社会とは」をテーマに語り合います。語らいの中から、あるべきケアの姿やケアの未来が見えてくることに期待します。 てつがくカフェとは、私たちが普段当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、「そもそもそれって何なのか」といった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら「対話」を通して自分自身の考えをたくましくすることの難しさや楽しさを体験するものです。
ファシリテーター 西村 高宏 福井大学医学部 准教授 「てつがくカフェ@せんだい」主宰。 臨床哲学の立場から震災という出来 事を自分たちの言葉で語り直す場をひらく。
ファシリテーション・グラフィック 近田 真美子 福井医療大学保健医療学部 准教授 「てつがくカフェ@せんだい」ファシリテーション・グラフィック担当。 専門 精神看護学。 西村高宏氏とともに哲学的対話実践の場をひらいている。
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