多くのみなさんにご支援いただき、「有縁のすみか」は2016年4月1日にオープン。
ご協力いただいた寄付金額:15,501,581円(2016年3月25日現在)
地域の人、住む人、ケアする人、
みんなで「縁」をシェアする拠点
コンセプト
「有縁のすみか」は、障害のある人が安心して暮らせる福祉ホームであり、地域の人々との出会いと交流の場です。
ここで暮らす一人ひとりの生活を大切にしながら多様な関係性を築き、支え合う「まちの縁側」のような場所をめざしています。
「有縁のすみか」はこんな場所です
六条山カフェ くわしくはこちら→六条山カフェ
子どもから大人まで、世代や障害を越えたさまざまな人たちがにぎやかに集い、出会うことができるカフェです。おいしい飲み物やケーキでゆったりとした時間をお過ごしいただけます。また、いろいろなテーマでサロンも開催します。
12人の障害のある人たちの住まいになります
さまざまな障害のある人たちがともに暮らす家になります。
ショートステイルームがあります
緊急時やレスパイトを目的とした宿泊に加え、自立に向けた「生活体験ルーム」として、地域の障害のある人たちも泊まることができます。(詳しくはお問い合わせください)
「有縁のすみか」ができるまで
~2011年
「自分らしく生活できる場所をつくってほしい」というたんぽぽの家のメンバーやその家族と、「福祉ホーム・コットンハウスの実践を活かし、地域で新しい暮らしの場をつくりたい」というスタッフ。それぞれの立場で生活の場の新設を具体的に考え続けてきました。物件の見学や、グループホームについての勉強会の開催など、少しずつ実現に向けて動き出した時期です。
2012年
たんぽぽの家のアート活動に協力をいただいていたクリエイティブ・イントロデューサーのやまもとあつしさんより、建築家の高山佳久さんをご紹介いただき、現在の建設予定地に候補を絞って、新しい拠点の建設に向けて始動しました。入居希望者や家族に対して、暮らし方に関するインタビューを行うと同時に、「地域の拠点」としてどのような役割を果たしていく必要があるのか、コンセプトについて議論を重ねました。そうした議論をとおしてたくさんの夢や構想を言葉にし、それを高山さんがいくつもの設計プランにしていきました。まとまった設計プランの建設資金を確保するために、民間助成財団への福祉施設建築助成金申請を行いましたが不採択となりました。
2013年
やまもとあつしさんの提案で、このプロジェクトを「有縁のすみか」と呼ぶことにして再始動しました。「有縁」は仏教用語。人と人との繋がりの希薄さが強調される現代において、日常を人と人との「縁」によって豊かなものにしていきたいという願いを込めています。地域の人たちやたんぽぽの家を支援してくれている人たちにこの取り組みを伝え、寄付や市民債券を募る活動を始めました。建設予定地での定期的な朝市の開催や、チャリティー寄席、チャリティーカラオケ大会、チャリティーボーリング大会など、様々な活動を通して「有縁のすみか」を応援していただくことができました。入居予定者もある程度絞り込まれ、家族会である「すだちの会(巣立ち、柑橘のすだちの意)」が立ち上がりました。新しいコンセプトのもとにつくられた設計プランの実現をめざして、再び福祉施設を対象とした建築助成金申請を行いましたが、2年連続で不採択でした。
2014年
プロジェクトの存続自体が危ぶまれるなか、建築規模の縮小、コンクリートから木造に変更した設計プランを、コンセプトはそのままにして再度つくり直しました。それを、福祉施設のみを対象とした助成金ではなく、奈良県産材の活用が条件となる林野庁の公共建築物を対象とした補助金を申請し、やっと採択されました。また、フォーラムを2回開催し、地域で新しい暮らしの試みをしている方たちと意見交換を行いました。このときに新たに得たキーワードが「地域を有縁のすみかに」というものです。私たちは「有縁のすみか」で生活する障害のある人だけに目を向けるのではなく、ここを拠点に、地域そのものが「有縁のすみか」となることをめざしたいと考えました。そうした発信をする場所として「カフェ」をオープンすることを決め、「縁側カフェ」という月1回のコミュニティカフェをアートセンターHANAで開くようにしました。また、建設予定地の目の前にある西の京高校地域創生コースの学生とたんぽぽの家メンバーがコラボし、有縁のすみかのコンセプトを実現させるために、六条地域で暮らし活躍する人たちへのインタビューをとおして「六条人」という冊子を発行しました。
2015年
5月に入札を行い、建築施工業者が大倭殖産株式会社に決定。7月地鎮祭、11月上棟式と、工事は着々と進みました。並行して運営体制の検討を重ねました。「有縁のすみか」は「福祉ホーム」です。障害のある人の共同生活というとグループホームか入所施設が多いのですが、福祉ホーム・コットンハウスを運営してきた経験から、生活者一人ひとりを尊重することができ、加えて障害の違いや世代を超えた支え合いの仕組みを整えることができる福祉ホームを選択しました。入居予定メンバーと定期的に話し合いやワークショップを行い、新生活のイメージを一緒に膨らませてきました。カフェは「六条山カフェ」という名称になりました。関連して、同志社大学社会福祉学科助教・森口弘美さんの研究「まちづくり協働研究・みんなが行きたくなるカフェってどんなカフェ?」に参加。六条山カフェを、みんなが「行ってみたい!」と思うカフェにするために、たんぽぽの家のメンバー等知的障害のある人が学生や研究者とともに調査を行いました。
4年間にわたる活動期間を経て、有縁のすみかはようやくオープンを迎えます。これまで本当にたくさんの皆さんに応援や協力をいただきました。「地域を有縁のすみかに」という当初の志を忘れず、ご協力いただいた皆さんの期待に応えられる場所にしたいと思います。