このページは、記念冊子『これからの30年を耕す問い』の内容を、音声でわかりやすく聞けるよう、読み上げ用テキストを掲載しています。
視覚障害のある人をはじめ、どなたでも展示を楽しむための案内としてご利用ください。
冊子の目的
1995年に始動したエイブル・アート・ムーブメント。
障害の有無に関わらず、社会的に弱い立場にある人たちのニーズから社会を構想し、“オルタナティブな生のあり方”を提案してきた市民芸術運動は、今年で30周年を迎えます。
この間、国内外、分野を超え、さまざまな実践が生まれました。それぞれの実践は、非連続のようでいて地下茎のように見えないところでつながり、共鳴しながら、新たな芽や兆しを生む土壌を育んできました。それはまた、水のながれのようでもあります。あるときは合流し、また離れ、それぞれの場所で形を変えながら各地での活動は継続してきました。
このたび30周年を記念し、このムーブメントの実践における“今”と“これから”を共有します。「人間らしく豊かに生きること」を可能にするアートの力を改めて確かめ合い、それぞれに問いを持ち帰る時間になればと思います。ページをめくるたびに、心のなかに、小さな問いが生まれてくるかもしれません。新たな問いと向き合いながら、これからの30年をともに歩んでいきましょう。
冊子の使い方
エイブル・アート・ムーブメント30周年記念フォーラム開催にあわせて作成した、問いを通してこれからを考えるための本です。
エイブル・アート・ムーブメントに関わってきた人たちが持ち寄った“これから、みんなで考えたい問い”を並べました。
これらの問いには、決まった答えはありません。また、どのページから読んでいただいても構いません。
ぜひ、一緒に活動する人たちや、これから出会う人たちとの対話の種としてご活用ください。この冊子が、これからの30年を耕す一歩につながれば幸いです。
これからの30年を耕す問い
・これからの30年も、いきいきと生きるためには、どんなことが必要?
・一人ひとりの人間が持って生まれた「傾き」を「傾き」のまま受け入れ、ともに活動するには?
・障害のあるメンバーの言葉を聞き取るうち、その言葉、 発話の音をまねてみたくなる。まねをするのは失礼なこと?
・ひとつの行為が、遊びにも唯一無二の表現にも見える。遊びと即興の境目は、 存在するの?
・障害のある人の表現から、今はまだないパフォーマンスのジャンルは生まれうるか?
・体験や出会い、発見において、感覚や感性の違いは人の数ほどあるはずなのに、なぜそこに能力評価が差し込まれてしまうのか?
・病気や加齢、障害が重度化しても、表現活動や自分らしい暮らしを続けられるための環境や道具はどう整える?
・障害のある人が、家族や施設との関係だけでなく、友人や仲間をつくり、依存しあえる先を増やしていくには?
・私たちはどのような場をつくり、どのような営みを育んでいきたいのだろうか?
・ケアし、 ケアされる関係から生まれるものとは?
・誰かのために行うことと、より多くの人にとって意味のあることの両立はいかにして可能だろう?
・声をあげられない障害のある人たちの声に耳を傾けるためには?
・アクセシビリティを考える前に、「そこにアクセスしたい!」と思える気持ちはどうしたら生みだせる?
・「就労」以外の楽しい社会参加を実現するためにできることは?
・「できないこと」よりも、「できること」に集中できる環境づくりにはどんなことが必要だろう?
・違和感があっても愛でられるもの、失敗も成功もないものづくりは、どのように可能だろうか?
・素材に触れる心地よさなど、つくる過程の喜びを大切にしたものづくりを、どうやって伝え、 続けていけるだろうか?
・産業や文化、自然環境が変化するなか、福祉の現場でのものづくりは、どう変化していくだろう?「つくる」と「使う」の先は、どのように考えられるだろう?
・コミュニティや生活のなかで、アートに取り組むことが増えてきた今、文化施設がもつ可能性とは?
・特別支援学校と福祉施設のあいだでできることとは?
・障害のある人の表現がもつ可能性をまだ届けられていない相手は誰だろう?
・エイブル・アート・ムーブメントの共鳴がより多くの人々へと広がるためには何ができる?
・オンライン空間は、ケアや福祉の可能性をどう広げる?
・デジタル技術の普及や利用が進むと、障害のある人のアート活動や仕事はどう変化する?
・福祉制度やサービスで、「できること」「できないこと」。その狭間や外側にあるものはなんだろう?
・数値では測りきれない活動の価値や存在の魅力を伝えるためには、どうしたらいいだろう?
・これからの社会において「市民運動」は成り立つか?
・コミュニティに関わる活動は、社会全体を変容させうるか?
・市民運動から大衆運動へ、そしてカルチャーとして根づくためには、どのような戦略が必要になるだろう?
・学び、楽しみながら関心を広げていく、学びながら自らをほぐしていけるような、そんな生涯学習のありかたとは?
・「障害者芸術」は、この30年で捉え直すことができたのか?
・嘘や暴力がまかり通る時代にエイブル・アートは何ができ、何ができないのか?
・多様性という言葉や考え方を追求すると、「障害」という言葉やそれを取り巻く制度は、どう変わっていくだろう?
・AI前提の社会において、社会的に弱い立場の人たちの豊かな暮らしとはどのようなもの?
・30年後、福祉の現場を支えているのは誰だろう?
・誰もが取り残されない社会は、どういう社会なんだろう?
・今も100年後も変わらずに、私たちが追い求めるものはなんだろう?
・もし社会のなかで、なんでもひとつ変えられるとしたら、 何を変えたい?
読み上げテキストのご案内
エイブル・アート・ムーブメント30周年記念フォーラムでは、このページも含めて、3つの読み上げテキストを公開しています。
以下の3つリンクを選択すると、読み上げテキストを掲載しているウェブサイトに移動します。
(1)講演室のトークセッションと、光の広間の交流プログラムの内容
このページは以上です。





