第47回わたぼうし音楽祭 作詩の部入選作品

第47回わたぼうし音楽祭「作詩の部」入選作品

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まっいいかー
作詩:松井理恵(まつい・りえ/東京都文京区・70歳)

歌を歌っているときに
声の出かたが変
エヘンエヘンとせきばらい
声が出なくて困っている
おしゃべりしてても声がかすれる
でもまだ笑顔は作れるから
まっいいかー

腕が肩まで上がらない
腕の動きも変
パチパチパチと手をたたく
手首に力が入らない
手のひらをぐっと伸ばしてみたら
友達と手をつなげたり
まっいいかー

椅子の背を持ちかかと上げ
1、2、1、2上げ下ろし
いつもしている体操だ
お日様みてるがんばる私
まだまだできる喜びを
かみしめながら生きていく
まっいいかー

 

 

プリズムのように
作詩:小玉聖紀(こだま・せいき/福井県鯖江市・57歳)

僕の中に流れる歌を
あなたに伝えられるように
僕はぼくは僕は

力尽きて泣き出した時
脳裏に浮かぶ 友達の顔
さあ動け そら走れ 涙を拭けと
プリズムのように映像で流れる
思い出した温かな手と
支えてくれた 静かな声
まだやれる ほら起きろ 思いを届け
鼓動みたいに心臓にバウンド

形にならない僕の歌でも
光を生みだして 言葉を紡いで
命に あなたに届いていく
歌って 明るい空を思い浮かべて
歌って 明るい君の未来のために

虹のように色づく声で
気持ちを解き放てるように
いつも上を向いて

誰のために歩き出そうか
桜の季節 華吹雪く空
一筋の 雲うごけ 光よ届けと
プリズムのように七色になりたい
駆け出すと聞こえる歌
流れるように旋律して
この時に 染み込んで あなたに溶けて
孤独じゃないと心で放つ

がらくたみたいな 僕の足でも
歩みを止めないで 毎日とむきあい
自分の 気持ちを温めている
笑って 素直な時を思い出してる
笑って 希望のみちに咲く花をみつめ

形にならない僕の歌でも
光を生みだして 言葉を紡いで
命に あなたに届いていく
歌って 明るい空を思い浮かべて
歌って 明るい君の未来のために

心で歩いた道はいつでも
新たな希望へと あなたを導く
溢れる 思いよ歌声になれ
歌って 明るい空を思い浮かべて
歌って 明るい君の未来のために

 

 

障害のある僕と高齢のお母さん
作詩:橡川慈彰(とちかわ・よしあき/岐阜県本巣市・47歳)

お母さんが 病気になった

お母さん ぼんやりしているように見える
お母さん 僕のことわかっているのか
僕 不安になる
お母さんは かべとか天井を見ていると言う
楽しいと言う

僕 お母さんと 話したいと言う
でも 「お母さん」と言うだけで
何を話していいか 分からない
お母さんも 僕と話したいと言う
少し 話した

昨日買った ドラえもんの時計 見せた
昨日話した時計で その話 お母さんおぼえてた
お母さん 僕の手を 強くにぎってくれた
うれしかった
夕方 お母さんと2人で 昼に残したごはん 食べた

そして…
お母さんに 病名ついて おくすり決まった
お母さんに ヘルパーさんついた
お母さんの散歩 車イスになった
お母さんの具合 いい日もふえた
お母さんのあの状態 いっときのことだった
先生は 「こわい病気ではないよ」と 言っていたっけ

お母さん お母さん
僕 仕事中 2時間おきに 電話してる
「どうですかー」「さみしくないですかー」
「はーい 大丈夫よー」

お母さん お母さんには 僕がついているからね
僕は お母さんが 大好きだからね
僕はこれからも お母さんに ついているからね

 

 

みんないろいろあるんだよ
作詩:中木美穂(なかき・みほ/鳥取県米子市・43歳)

ある日 突然
規制 自粛の波が押し寄せる
こっちの気持ちなんかお構いなしに
日常が日常でなくなる恐怖

それだけでも手一杯なのに
周りのノイズもなんでか絶好調
あたしは絶不調
ああ 少しはほっといてよ

忖度なんか知ったこっちゃない
あたし
「心中おしはかる」なんて
高度な技 持ち合わせてませんから
無知なふりして
笑顔でかわせ
人生楽しんだもん勝ちさ

自己満浸る上から目線の発言も
聞き流し
時に鈍感にもなってやれ

いつも
アクセル全開じゃ
そりゃ疲れるわ
そんな日は ココア飲んで寝よ

人は怖い
人はめんどくさい
人は…
誰かの飾らない言葉に
救われたりもするじゃない?
変われたりもするじゃない?
だから 嫌いになれないんだよね
だから 言葉も雑に扱わない

ああ 今日もノイズが絶好調
あたしは絶不調
「いつも人に優しく」って
教科書通りにゃいかないけれど
ぼちぼち生きよっか
「みんないろいろあるんだよ」って
誰かの言葉がきこえるよ
だから 人生楽しんだもん勝ちさ

 

 

いま
作詩:奥谷奈穂子(おくたに・なほこ/奈良県桜井市・40歳)

わたしの こえは 
もう だれにも とどかない
わたしの こえは あのひから 
とうめいに なった
じかんは とまり とぎれてしまう
もういちど ながれるような 
かいわを してみたい
いつか いいことも あるかもしれない

ふと かんがえる

こえに のせて いえなくなった
つかわなくなった ことばたち
おはよう さようなら いただきます ごちそうさま… そして 
ありがとう
でも わたしの とうめいなこえは 
きっと みんなにとどく!!

 

 

絵が叶えてくれる夢
作詩:小林弘典(こばやし・ひろのり/奈良県橿原市・39歳)

僕は絵を見るのも描くのも大好き
絵の中ではどんな夢でも叶うから

絵の中なら様々な生き物に会える
太古の昔に生きていた生き物や
存在が確認されていない生き物まで
僕が描く時はかっこよくしたくて
様々なパーツや模様を付け足すよ

絵の中なら様々な所へ行ける
すぐ近くにある馴染みの風景から
遥かに遠い空高くの宇宙まで
僕が描く時は自分の頭で想像して
見た事ない景色をお見せしよう

絵の中なら有名人に会える
絶世の美女であるモナリザや
歴史上で有名なあの人まで
僕が描く時は元々の絵よりも
可愛く描いてみせますよ

絵の中なら色んな乗り物に乗れる
自動車や船や飛行機やロケット
想像した未知の乗り物まで
僕が描く時は誰も見た事ない
乗り物を描いて見せましょう

絵の中なら色んな建物が見れる
世界中の有名な建物から
想像した不思議な建物まで
僕が描く時は頭の中で考えた
奇抜で楽しい建物を見せましょう

僕は絵を見るのも描くのも大好き
絵の中ではどんな夢も叶うから

 

 

明るい未来を作ろう
作詩:大野温(おおの・はる/福井市・14歳)

いいことが増えた
自分の好きなことができる
楽しむ方法を見つけよう
明るい未来を作ろう

時間がたくさん生まれた
僕は有意義に使った
ピアノを弾いたり 絵を描いたり
趣味の時間が増えた
楽しみがたくさん生まれる
自分のしたいことができる
人との会話も増えた いいことたくさんだね

いいことが増えた
自分の好きなことができる
楽しむ方法を見つけよう
明るい未来を作ろう

学習が増えた
はじめてのことを経験することも増えた
iPadを使ったり リモート会議をしたり
難しいけどワクワクするね
楽しみがたくさん生まれる
自分のしたいことができる
初めての体験もできる
いいことたくさんだね

いいことが増えた
自分の好きなことができる
楽しむ方法を見つけよう
明るい未来を作ろう

今あなたがやりたいことは何?
今なら自分が興味のあること
何でも知れるよ
世の中を楽しく過ごすために
自分がしたいことを見つけよう
今なら願いを叶えられるよ
自分の好きなことができるんだから
楽しむ方法を見つけよう
明るい未来を作ろう

 

 

わたしたちの学校
作詩:交野支援学校高等部 カタリンズ(大阪府交野市)

みんな集まれば笑顔になるよ
みんなの大好きがここにはいっぱい

さあ勇気を出して 待ってたらあかん 私から
一声かければ おしゃべりの時間 とまらない
今日の日直誰かな 係りの仕事忘れんように
みんな元気にきてるかな zoomもチェックして

学校には自然がいっぱい 桜もきれい
希望の坂のぼって 出発進行!
さあみんなで言おう せーので 「おはよう」

みんな集まれば笑顔になるよ
みんなの楽しいがここにはいっぱい

さあ思い切り 待ってたらあかん 私から
教室で寝返り どこまでもゴロゴロ ねえ先生
友だちと一緒に勉強 ねぇ見て見て! 「できた!」
放送当番上手でしょ マイクはドキドキするけどね

学校はいつもにぎやか 
友だち大好き 先生大好き
さあみんなで言おう せーので「いただきます」

待っている君も 大丈夫 
ひとりじゃないよ みんなが友だち 
待っていたいときもあっていいさ 大丈夫 
気づいているよ みんながいるよ

ウォーカーがこわれたときは 車いすで散歩しよ 
たまにはあるさ 思いがけないことも 
予定通りやなくてもええやん
みんながいるよ うるさいくらい にぎやかな
こんな学校 私たちの学校

みんな集まれば笑顔になるよ
みんなの大好きがここにはいっぱい

さあそろそろ 帰りましょ 
今日も元気に過ごせたね
電動充電大丈夫? くつ履き替えた? 
お茶は飲んだ?
あしたの給食気になるなぁ 忘れ物はないね!

さあみんなで言おう せーので 「さようなら」
さあみんなで言おう せーので 「またあした」