東北ドキュメントプロジェクト レポートその2

東日本大震災で自身も被災しながら医療や福祉などの分野で支援活動をされた方々へインタビューし、記録を残す「東北ドキュメントプロジェクト」(財団法人JKA助成)。担当スタッフが事業や取材の概要、エピソードなどをご紹介します。

 

滑川先生インタビュー

P2250900.jpg

仙台グリーフケア研究会代表で医師(仙台市立病院)の滑川明男さんにお話を伺いました。

心臓外科医である滑川さんは、「治すだけではなくて、看とるまでが医師の仕事」と言います。死は特別なものではなく、誰にでも平等に訪れる。でもそれが突然であったり、不条理であったり、大切な人であればあるほど、また生前の関わりについて後悔があると、残された方はどうしようもない喪失感に襲われて深く傷つきなかなか立ち直れない。そのような人を支えるために、仙台グリーフケア研究会では「わかち合いの会」を県内各地で開催しています。滑川さんもファシリテータをなさるのだそうですが、「とにかく聴くだけ。自分が特別何かしているとは思わない」と淡々と話していらっしゃいました。
普段から死と向き合い死について考えることは、生を考えることであり人生を受け入れること――真摯に人の命に向き合う滑川さんの言葉が心に響きます。
現代の医療は人間を生理学的に、物理的に生き長らえさせることに重きを置いていて、人間のあり方・生き方が蔑ろにされていることが多々ありますが、それは死を忌避し、良くないものとして否定するところから起こっているのではないでしょうか。 滑川さんは専門医ですが、医師である前に人として、苦悩している人に寄り添っています。「本当のプロは、自分のプロ意識を捨てられる人だ」という鷲田清一さん(哲学者)のお話を思い出しました。

 

黄緑色のバッジ

取材中ずっと気になっていたのが、ジャケットに留められた黄緑色の「自殺対策リボンバッジ」。宮城県で作られました。自殺予防の活動や自死遺族を支える活動の印だそうです。

P2250902.JPG

 

仙台グリーフケア研究会 http://www.sendai-griefcare.org/
(ブログ http://blog.canpan.info/grief/)

インタビュー映像はこちら

 

東北ドキュメントプロジェクト
「忘れないよ~3.11の記憶と記録~」

ケアラーズジャパン http://care-jp.tv/

(担当:佐賀優里香)

 

この事業は、競輪の補助を受けて実施します。
ringring_b.gif