伊藤 樹里(アーティスト)

伊藤 樹里(アーティスト)

今日もお仕事、できましたよ!!



「JURIX WORKS」(1998~現在
自分や家族、知人たちの薬の殻)

 世の中に「仕事」は数多くあるけれど、伊藤樹里の仕事ほどユニークなものはない。
 一日4 回のラジオ体操、紅茶づくり、身近な体験に基づいた「ニュース」かき、薬のカラ集め、鉛筆の削りカス集め、 ラジオ深夜便を聞くこと・・・、つまり、好きなこと・やりたいことが彼女の仕事である。彼女の机の周辺にはそんな仕事の痕跡であふれている。それを素直に仕事とよんでいいのか、正直わからない。誰も発注していないのにつぎつぎ生まれてくるもの。でもみんな素敵なもの。どうやらこういうものを世間では「アート」と呼んでいるらしい。というわけで彼女は仕事人であると同時にアーティストである。

 書や語りなど、継続しておこなっている表現活動もある。「語り」では最近、奈良弁護士会と協働で「憲法絵本」を語っている。「憲法絵本」の活動は子どもから大人までを対象に人権や平和についてわかりやすく伝えるための取り組みである。堅いイメージのある憲法がベースではあるが、彼女がもともと持つ包容力を通して語られるからか、深く心の芯まで響いてくる。


「強」「雷」「島」「銀色」(墨、和紙)

 伊藤樹里のユニークな仕事の根底にあるのは誰かに対する「やさしさ」である。大好きな誰かのために仕事をして、喜んでもらいたい、という想い。争いごとのない、平和な世の中になってほしいと心から願って語る姿。そんな他者への想いが、多くの人の心に届く作品や舞台をつくりあげる。その証拠に、仕事が終われば必ず成果物を自分の好きな人のところまで持っていき、元気に業務報告をするのだ。
「今日もお仕事、できましたよ!!」

伊藤樹里さんの創作に関して、こちらから動画をご覧になれます。
映像の中で語られている「憲法絵本」は奈良弁護士会と協働で取り組んでいるプログラムです。
詳細はこちらをご覧ください。