【レポート】松本国三×大江正彦 「 日書日描」展(天音堂ギャラリー)

 

文字とは踊るものなのか。       DSCF3976.jpg

そんなことを思ったのは、大阪・天音堂ギャラリーで開催中の松本国三×大江正彦 「 日書日描」展を観に行ったから。

 

普段私たちは、連なった文字を必死に追いかける。

文章から意味を読取るために。こんなにも文字に接しているのに、文字そのものを、見ることはほとんどない。文字の向こうの意味にばかり気をとられる。 

きれいに整列した文字は、意味伝達に徹するばかりで、踊らない。その姿は印象に残らない。

天音堂ギャラリーに並ぶ松本国三と大江正彦の作品は、そんな文字の、もうひとつの姿を私たちに見せてくれる。日めくりに書き連ねられた文字。囲まれたり、塗り込められたりした文字。 

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(左:松本国三さん作品 右:大江正彦さん作品)

それらは少し曲がり、カタチを変え、解読不能になっていく。わからぬままに眺めていると、その連なり、カタチ、色、そのものが、楽しくなってくる。
いつのまにか、意味を追うことを忘れ、見入ってしまうのだ。
それは、文字そのものに触れる体験であり、松本の、大江の、文字の経験に触れる行為だろう。

彼らによって、姿を表した文字、カタチは、意味を擦り抜けて、軽やかに踊っているように思える。いきいきと。

 
それは、きゅっとひかれた線が、ぎゅっぎゅっと塗られた色が、厚く重ねられ削られた絵の具が、そこで確かに画面に向かっていた作者の――そこに命を吹き込む人の、姿を思わせるからかもしれない。
そして、その作者に寄り添う人々の姿をも。

そう、それは、そこで、確かに行われたこと。日々の営みの、ひとつの表れなのだ。

 

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  松本国三×大江正彦 「 日書日描」展 8月23日~28日 

午後2時~7時 (ただし最終日28日は、午前11時~午後6時)

天音堂ギャラリー

関西ではじめて展示する作品も多数あるそうです。今週日曜日までです。まだ御覧になっていない方はぜひ!

天音堂ギャラリーへのアクセスはこちら→天音堂☆堂守コラム http://amanedo.exblog.jp/

(レポート:井尻貴子)