星野祥代(版画家)

星野祥代(版画家)
 

 星野祥代さんは、多色刷り木版画を制作している。版を掘り、一枚一枚刷っていく。色を重ねることで深みが生まれた画面は、主張が強いわけではないが、印象に残る。ずっと見ていたら、カーテンが風に舞う瞬間のように、ふっと動きを見せる瞬間があるのかもしれない、と思う。あるいは、オルゴールがカタンとなる瞬間のように、ふっと音が奏でられる瞬間があるのかもしれない、という気になる。
2011年、「第13回エイブル・アート・アワード」で選出され、東京のガレリア・グラフィカbis(中 央区銀座)とA/Agallery(千代田区外神田)の2カ所のギャラリーで個展を開催した。
ガラス張りのギャラリーの前を通り過ぎようとして、ぱっと足をとめる人がいた。作品を購入する人 も、多くいた。
その絵の前に佇み、じっと眺め、耳を傾けたくなる。もしかしたら、いま、私たちが必要としているのは、静かに立ちどまることを許される時間なのかもしれない。   

(井尻貴子/財団法人たんぽぽの家 )

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無題 2008 水性顔料、和紙 138×267mm

 

星野 祥代
鍼灸師。版画家。エイブルアート・カンパニー登録作家。

1976年生まれ。千葉県在住。
2007年 大阪芸術大学美術学科卒業

20歳の頃に浜口陽三の作品と出会い、版画に強く興味をもつ。その後、木版、銅版、シルクスクリーン、リトグラフの4版種の制作を一通り体験する。
現在は鍼灸院を開業しながら、木版画の制作を続けている。先天性白内障による弱視のため、下絵や彫りの作業は日光の多い昼間、仕事の合間に行い、自然光より蛍光灯の下の方がやりやすい彫りの作業は 夜に行う。
作品は手彩色はせず、すべて版を刷り重ねている。
筆で描いたものとは違った「重なり合った色」になるところが木版が好きな理由のひとつ。身近にある事柄の中に見え隠れする"ちょっと面白い"ことや"ちょっときれい"と感じることを表現したい。
 


活動履歴
 

2008年
二人展・いつもの場所、いつもの小物たち展(川村記念美術館 第2ギャラリー:千葉)
2009年
染+陶+木版=5人展(銚子シティオギャラリー:千葉)
2011年
第14回エイブル・アート・アワード  展覧会支援部門入選展「星野祥代展」 (ガレリア・グラフィカbis)
2012年
第14回エイブル・アート・アワード 展覧会支援部門入選展「星野祥代展」(A/Agallery)


 星野祥代さんの木版画には、木洩れ陽のような揺らめく淡い優しさがある。
それは木という版の素材がもつ温かさのせいかも知れない。
あるいは彼女のものを見つめる、心の眼の清らかさのせいかも知れない。 豊かな抒情をたたえる画面はまるで白昼夢のように、どこまでも静寂に包まれている・・・。
高橋直裕(世田谷美術館学芸員)

(「第13回エイブル・アート・アワード」展覧会支援部門入選展 星野祥代展DMより)

 

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 無題 2010 水性顔料、和紙 248×236mm

 

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無題 2010 水性顔料、和紙

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無題 2010 水性顔料、和紙

 

 

「Good Job!」− 障がいとアートとデザインの新しいかたち展

星野祥代さんの作品が出展されています。

会期:2012年2月18日~4月8日 アンデルセン公園
会場:アンデルセン公園
主催:アンデルセン公園 こども美術館、エイブルアート・カンパニー

 

「Good Job!」− 障がいとアートとデザインの新しいかたち展は、エイブルアート・カンパニーと一緒 に、障がいのある人たちの作品を活かしたワクワクするような楽しい「しごと」の数々を紹介する展示 です。
「エイブルアート・カンパニー」は、障がいのある人のアート作品を社会に発信するために生まれた組織で、現在、全国66人の登録作家のアート作品約5,800点を公開し、商品やデザインの素材として使用できる仕組みをつくっています。星野さんも、登録作家の一人として活躍しています。
展覧会について、詳しくはこちらをご覧ください。
エイブルアート・カンパニー http://www.ableartcom.jp/newsb/index.php?e=106

星野祥代(版画家) 星野祥代 (版画家)