2011年12月9日(金)19:00~
連続トークセッション「臨床するアート 2011」第5回を開催しました。
今回のゲストは、庭園美術家であり、「復興支援プロジェクト 庭JAPAN」調整役をされている長崎剛志さん。
まずは長崎さんが日本やイギリス、インドでてがけた庭の作品をスライドで拝見しました。
2011年はじめまで、イギリスに2年間滞在し、そこで庭の仕事をされていたそうです。
そして、帰国した矢先におきた、東日本大震災。必要となった泥出しや瓦礫の撤去に、庭師の能力を生かせるんじゃないかという考えから、ユンボを積み、東北へ向かったそうです。そこで、庭師のネットワークを組み、活動したほうがよいと感じ、以前からつながりのあった仲間と「復興支援プロジェクト 庭JAPAN」として活動に取り組むようになったとのこと。
そんな長崎さんですが、現地では、庭を直している場合か、と問いながら、庭を直すことをはじめたそうです。
庭より先に優先すべきことがあるのではないか。でも実際に被災地で感じたのは、被害が小さいところからしか、手をつけることができないということ。
まだまだ手がつけられないところ、心、場所というのはたくさんある。だからこそ、手がつけられるところから、取り組んでいかないといけないと感じたという長崎さんが、今回、復興支援にむかったのは、阪神大震災のときには何もできなかったという思いがあるからだと言います。
自分は関西出身なのに、当時は東京で学生をしていて、ただただ報道をとおして知ることしかできなかった。
だから、今回の震災に、何もできないと感じる人がいても、いいと思う。その思いは、また、いつか何か起きた時の行動につながるかもしれないし、つなげればいいのだからと強く話されていたのが印象的でした。
庭は、関わり続けることが必要だと、長崎さんは言います。
生きていて、変化していく。だから、難しい。毎年手入れに行っていても、わからないことがあると。でも、関わり続ける。震災復興支援に限らず、いつも、これから先を準備するという気持ちでやっていきたいと。
被災地でのこれからの活動について問われ、「木を植えるまで一緒にいたいと思っている」と答えた長崎さん。
今後の活動については、ぜひ、長崎さんのホームページn-tree http://n-tree.jp/ や
東日本大震災復興支援プロジェクト 庭JAPAN http://niwajapanproject.blog.
(報告:井尻貴子)