臨床するアート 東京セッション *申込み締切りました。

近年、アートの社会的役割が議論されるようになり、医療や福祉、さらには社会的な課題をかかえる地域コミュニティなどで、アートの力が活用されはじめています。それらは、アーティストや芸術団体からの積極的なかかわりや、地域の活性化や社会的な課題への対応といったように、アートの社会化を意識した先進的な取り組みです。しかし、アートの力を社会にいかす活動はこれまでになかった新しい動きであるばかりでなく、異分野との連携が必要なため、実際にマネジメントしていくうえで課題を抱えているのも現状です。これらの活動が広がり、根づいていくためには、あらためて活動の意義や可能性をしっかりととらえることが必要ではないでしょうか。この連続セッションでは、アートを社会にいかしていく現場で何が生まれているのか、そこにはどのような課題があるのか、そしてアートは私たちの生にどう向き合うことができるのかを考えます。

[関連企画:臨床するアート 奈良セッションはこちら]

日時
2011年1月19日(水)、2月3日(木)、2月16日(水)、2月23日(水)、3月2日(水)、3月17日(木)[全6回]
19:00~21:00(受付 18:45~19:00)
*申し訳ありませんが、定員に達したため、受付を締め切らせていただきました。
会場
エイブルアート・スタジオ(アーツ千代田3331 地下1階)[会場アクセスはこちら]
定員
1回40人(定員に達し次第、締切となります)
参加費
一般:6回連続 7,000円/1回 1,500円
ユース(25歳以下):6回連続 5,000円/1回 1,000円
主催
財団法人たんぽぽの家
協力
アートミーツケア学会 エイブル・アート・ジャパン
平成22年度文化庁芸術団体人材育成支援事業

 

プログラム

第1回 1月19日(水)
地域にひらかれた病院を創出する──アートとデザインの力

患者、家族、そして働く人にとって、病院という空間、コミュニティはどうあるべきか。医療の現場で、一人ひとりがその人らしく生きるために、美術やデザインは何ができるのか。さらには、美術系大学が地域の課題にどう取り組むことができるのか、そのマネジメントについても考える。

高橋伸行

名古屋造形大学アートプロデュースコース准教授、やさしい美術プロジェクトディレクター。病院や発達障害支援センター等へのアートの導入に取り組む。2010年には瀬戸内芸術祭の一環として、ハンセン病の療養所に滞在し展覧会を実施。

第2回 2月3日(木)
力を抜くことのチカラ──自分も他者も楽に生きる身体を探る

自他の身体を確かなものとして実感し、豊かな関係性をつくっていくために、ダンスや身体表現はどのような可能性をもっているか。そして、今なぜ教育や福祉など他者との深い関わりが求められる現場にダンサーが向かうのか。「もうひとつのダンス」がひらくコミュニケーションについて考える。

新井英夫

ダンスアーティスト、体奏家。演劇を経てダンスをはじめる。創始者野口三千三氏より、野口体操を学び、その「自然直伝に、力を抜く」身体観から大きな影響を受ける。自身の表現活動との両輪として、幼稚園、高校、大学などの教育現場や、市民参加型事業での身体ワークショップを行う。

第3回 2月16日(水)
医療・福祉におけるアーティストの役割

高齢者施設や病院においてアーティストはどのように存在し、どのような役割を果たすことができるか。高齢者施設での10年以上にわたるアーティストとしての実践を通して、ケアの現場におけるアーティストの役割、存在理由について考える。

藤原ゆみこ

美術家。群馬県立女子大学講師、アトリエプナン主宰。美術家として創作活動を行う一方、医療法人社団いばらき会が運営するデイケアセンターや高齢者福祉施設、病院などにおいて、年間を通して連続アート・ワークショップを行う。

第4回 2月23日(水)
生きづらさに寄り添う表現

現代社会のさまざまなひずみや、課題の前で生きづらさをかかえながら生きる人たち。人生の不条理や闇の部分を含めての厳しさ、喜び、生きることのリアルに向き合うメディアやアートなどの表現の可能性を考える。

坂上香

津田塾大学准教授、映像作家、特定非営利活動法人out of frame代表。暴力の加害・被害をめぐる映像制作を通して、新たな更生モデルを模索。また、薬物依存の女性やDV被害を受けた子どもらを対象に、写真、詩、身体表現などを使った自己表現の場をつくる。作品に「LIFERS ライファーズ~終身刑を超えて」など。

第5回 3月2日(水)
『障害/健常』をゆさぶる

最大限の情報にどれだけ早くアクセスできるか、そして結果を出すことができるか、そんな現代の目的至上主義のなかで、どのように私たちは自他の存在を肯定できる場をつくることができるか。「障害/健常」をゆさぶり、すべての人へ問いかけるための表現、アートについて考える。

鈴木励滋

栗原彬に政治社会学を師事。地域作業所カプカプの所長を務めつつ、ウェブマガジンwonderlandなどに演劇やダンスの批評を書いている。『生きるための試行 エイブル・アートの実験』(フィルムアート社)や劇団ハイバイのツアーパンフレットに寄稿。

第6回 3月17日(木)
社会に向き合うアートの実験

今、なぜ多くの人が孤独、生きにくさを感じながら生きているのか。効率化や競争化の社会のなかで、私たちのいのちも分断されていってしまっている。このような社会をアートはどのように変革していくことができるのか。社会を変える、未来を描く、社会デザインとしてのアートの可能性を考える。

津田広志

出版社フィルムアート社編集長/クリエイティヴスペースamuディレクター。2010年は、書籍『生きるための試行 エイブル・アートの実験』『編集進化論』『WindowScape』の編集から、イベント『sharing リトアニアへの旅』『東京工業大学CreativeFlow アーキテクチャ特集』などを行う。

播磨靖夫

財団法人たんぽぽの家理事長。アートミーツケア学会理事。特定非営利活動法人日本NPOセンター前代表理事。芸術の社会化・社会の芸術化をめざし、エイブル・アート・ムーブメントを提唱。アートとケアをテーマにした人の生きやすい社会を提案している。

コーディネータ(全6回)

坂倉杏介

慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所特別研究講師。三田の家LLP代表。芸術の共同制作過程の分析を通じて、コミュニティや個人の成長と「場」の関係について研究。また、キャンパス近郊で運営するコモンスペース「三田の家」「芝の家」での活動を通して、新たな大学地域連携のモデルを模索している。

※各回とも、講師より話題提供の後、コーディネータ・参加者とともにディスカッションを行います。

 

お申込み/お問合せ

財団法人たんぽぽの家

〒630-8044 奈良市六条西3-25-4
Tel: 0742-43-7055 Fax: 0742-49-5501
Email: rinsyosuruart★popo.or.jp(★を@に変換して送信してください)