第37回わたぼうし音楽祭 発表作品決定!!

 5月26日・27日の2日間にわたり第37回わたぼうし音楽祭「作詩•作曲の部」の選考会を、約50人の市民選考委員の参加により行いました。全国から272作品が寄せられ難航した選考の結果、第37回わたぼうし音楽祭「作詩•作曲の部」の入選作品8曲が決定しました。

第37回わたぼうし音楽祭「作詩•作曲の部」 入選作品

※順番は作詩者名の50音順。

 ♪守りたいもの 

作詩:綾垣 葵[大分県日田市・17歳]

作曲:江頭 玲衣[福岡市28歳]

 

何も聞こえない

何も分からない

その度に感じる

不安 孤独

 

あなたの思いを

理解(わか)ってやれない

あなたに何もできない

無力感 悔しさ

 

何で耳が聞こえないんだろう?

感じてしまう絶望感

聴こえるようになりたい

叶えられない願い

 

私たちには

『手話』という光がある

はっきり見えて

表情も合わせて

 

会話が見える

あなたの気持ちが解る

その度に感じる

安心 満足

 

会話や物事を理解できる

自分にできることが見つかる

その度に感じる

嬉しさ 充実感

 

掴むことのできないものは

どうにもすることはできない

だけど 希望の光はそこにある

 

その光を守って

どこまでも羽ばたいて行こう 

 

 ♪昔も今も乳母車 

作詩:北市蔦子[愛知県名古屋市・69歳]

作曲:笠木敦志[千葉県柏市43歳]

 

昔 昔 母さんは

小っちゃな 小っちゃな 私(わたくし)を

乳母車に ポンと乗せ

田舎の道を 歩いていた

青い青い大空に 童謡いっぱい

ひろがった

「お馬の親子は 仲良しこよし……」

その時 車はゆれていた

今度は 私(以下読み:わたし)が 母さん乗せて

病院通う 通り道

桜咲いてた あの道越して

椿のトンネル くぐりぬけ

昔 通った 道通る

 

今度は私が唄う番

何の歌を 唄おうか

そうだ 母さんの大好きな

「お馬」の歌を 唄おうか

「お馬の親子は 仲よしこよし……」

その時 母さんほほえんだ

 

認知になった 母さんが

車の中で ほほえんだ

その時私が 車をば

ちょっとだけだが ゆらしたら

嬉しい揺れに 変わったよ

昔のことを 思い出し

今日も 車は 動いてる

 
 

 ♪雨と風、そして大地へ 

作詩:小林 聡[大阪市・46歳]

作曲:神村茂三[大阪府八尾市47歳]

 

大地の種が蕾になり 大きな花を咲かすのは

すぐにはできないけれど

過ぎた昨日を嘆くより 新しい明日を作ろう

汗と涙が滲み込んだ このタオルを握りしめて

 

激しい雨は 誰にも降るけど

止まない雨なんかない

やがて太陽が現れ 大地のパワーに変えてくれる

 

ゆっくりゆっくり 歩きはじめよう

 

心地いい言葉ばかり いくら重ねても

何も届かないんだ

真実はいつも 泥臭い場所にある

分かってほしいから 分かろうとするんだ

 

強い風は 誰にも吹くけど

向かい風ばかりじゃない

やがて優しい風が 背中を押してくれる

 

ゆっくりゆっくり 歩きはじめよう

 

雨や風は 人を区別しないで

容赦なくやってくる

避ける術を探すのではなく

立ち向かう心を 傾けていこう

 
 

 ♪一歩ずつ 

作詩 • 作曲:菅田 利佳[和歌山市・11歳]

 

神さま ありがとう すてきな耳をありがとう

今日も 大好きな ピアノを弾いています

 

神さま ありがとう すてきな声をありがとう

今日も 楽しく 歌っています

ラララララ

 

神さま ありがとう すてきな杖をありがとう

今日も 一緒に 歩いています

夢に向かって一歩 一歩ずつ

 
 

 ♪千の願い

作詩:高橋直美[神奈川県秦野市・41歳]

作曲:倉持祥子[千葉県松戸市・26歳]

 

一枚ずつ折り紙に

そっと願いを書いた

指先で折りたたみ

小さな鶴が出来た

 

繰り返す挫折

胸から吐き出すように

いくつもいくつも

糸でつなげる

 

千羽鶴が できるころには

千の痛みが 羽に変わり

この青空を 飛べるといいのに

叶うまで 願い続けるの

 

一つの運命(さだめ)が

鶴を飛べなくしてるなら

冬の海に来て

糸を断ち切ろう

 

千の鶴は 散り散りばらばらに

なって冷たい 水面に咲いた

地平線の下で 眠る太陽

どうか飛び上がる 勇気をください

 

枯れない涙 どんな絶望も

寄せては返す波のように

いつかは 遠のく…

 

千の光が 昇るころには

やっと折鶴 羽ばたくでしょう

夜明けの海は オレンジを浴びて

虹色の翼は 希望の空へ

 

 ♪COMING OUT 

作詩 • 作曲:団野利男[京都府城陽市・46歳]

 

「お前は暗い」と言われ続けて 過ごした子どもの頃

無理にはしゃいでは疲れ果てて そして大人になった

初めて病気と知らされた時 自分が鬱だと知らされた時

許されたような気持ちになった もう演じずに生きればいいと

 

COMING OUT 聞いてください そのままの僕の小さな悲鳴を 愛してます

COMING OUT 愛されたくって 僕は 自分のペースで生きていきます

 

病院に通い 薬をもらって しんどい時はそれに頼った

肩の力が抜けるように 楽になったのを覚えてる

それでも時には眠れなくって 頓服を飲んで布団にくるまった

バリバリ働いてた頃に 時には帰りたくもなった

 

COMING OUT 聞いてください 君に愛されたくて 本当の僕を

COMING OUT もう戸惑うこともない 君だけを愛し続けるこれから

 

ただ弱いだけなのに 気が小さいだけなのに 真面目すぎるだけなのに

少し休んだだけなのに 世渡り下手なだけなのに 薬を飲めば大丈夫なのに

 

COMING OUT 聞いてください そのままの僕の小さな悲鳴を 愛してます

COMING OUT 愛されたくって 僕は 自分のペースで生きていきます

COMING OUT 聞いてください 君に愛されたくて 本当の僕を

COMING OUT もう戸惑うこともない 君だけを愛し続けるこれから

 

  ♪百まで生きる 

作詩:水野利己子[茨城県那珂郡・56歳]

作曲:戸川 悠[千葉県船橋市・30歳]

 

十三で難病

三十で股に人工骨埋まっても

それがなんや

薬40年飲み続け

おまけに小便近い

それがなんや

紫外線弱く

皮膚超うす

血管浮いてて

それがなんや

入院続きで学校行けず

算数 英語もチンプンカンプン

それがなんや

楽しいことがいっぱいあったはずやけど

こんなはずやなかったけど

それがなんや

 

はてしない道をピンクのミラーで

ユーミンと走ろう

ときどき車を降りて

空を見上げてうーんと背のび

ピリリとほおをさす二月の風

 

充分生きれる

百まで生きれる

百まで生きる

 

 

 ♪墨字で 

作詩:吉田美優[青森県八戸市・14歳]

作曲:宮崎伊代[奈良県磯城郡・27歳]

 

墨字(すみじ)で手紙を書いてみたい

好きな言葉を書いて伝えたい

優しさと書きたい

私の名前にある文字だから

嵐と書きたい

私の好きなグループだから

運動と書きたい

私が得意なことだから

お笑いと書きたい

私が好きなものだから

嬉しいと書きたい

ありがとうを伝えるために

 

色鉛筆で絵を描(か)いてみたい

きれいなものを描いて伝えたい

ツリーを描きたい

いろんな色に光っている

雑貨を描きたい

かわいくデコったポーチ

小さな子どもを描きたい

妹か弟がいたらよかったな

洋服を描きたい

おしゃれなコーディネート

花束を描きたい

いつまでも思い出を残すために

 

大きな筆で

大きな四つ葉を描いて

となりに「み」と書いた

私が書いたって信じてくれるかな