リーディング公演「とある村」 オンラインでご覧いただけます。

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「鳥の劇場」YouTubeより 無料で上演中!

リーディング公演「とある村」/日韓共同プロジェクト「演劇で編む『共に生きる』」が3月2日(火)13時半〜15時、鳥の劇場YouTubeチャンネルにて配信されます。これは鳥の劇場がオーガナイザーとなって行う企画です。今回の企画は新型コロナウィルス流行に伴い、韓国、日本それぞれでのリーディング上演という形を取ることになりました。日本側はもりながまことさん演出、韓国側はチョン・ソンギョンさん演出になります。(韓国側は3/4、5に韓国にて上演)
日本はたんぽぽの家アートセンターHANAの演劇プログラム「HANAPLAY」メンバーが出演いたします。みなさま、ぜひぜひご鑑賞ください。

鳥の劇場2020年度プログラム<国際共同プログラム>とは

日本と韓国の障がいのある人とない人が一緒に舞台を作ることを目指した事業でしたが、コロナ禍の中、不可能な状況に。しかし諦めず日本と韓国でそれぞれに、同じ脚本を使ってリーディング作品を作成中です。「こういう状況だからこそできた作品!」と自信を持ってお届けします。どうぞご覧ください。(鳥の劇場作成のチラシより)

「とある村」チラシ を見る

 

「とある村」のあらすじ       イ・ヨンジュン作

物語の舞台である「とある村」では、卵がとても大切な食べ物となっている。村人たちは卵を食べて働く意欲を湧かし、毎日それぞれの仕事をこなす。しかしある日、鶏が卵を産めなくなってしまった。獣医師によると鶏がうつ病になったらしい。はじめ村人たちは鶏を心配するが、卵が無いストレスから仕事も満足に出来なくなり、次第に村全体が不安定になっていく…。

 

「とある村」 日本編 

◎演出:もりながまこと
◎メンバー:上埜英世、大西照彦、河口彰吾、河野望、清水要一、下津圭太郎、田井克典
      たーやん、本田律子、山口広子(50音順)   (メンバー紹介のPDFを見る)
◎スタッフ(演出助手):佐藤拓道、蔵元徹平

*公演にむけて ー 日本演出家・もりながまこと ー
私たちの「とある村」は障害のある出演者のみで構成されています。身体の動きや声がとても微細な人や、字を読み取ることが得意でない人、そして発声がとてもゆっくりな人たちです。同じ身体の人は一人もいません。みんな違います。身体の在り方がそれだけ多様であるということは、それだけ“言葉がある”ということです。
今回の韓国の演劇人の人たちとの日韓共同制作で感じたことは、“障害”という言葉が持つその本質的な問題は、国境を越えて同じだと感じたことです。このリーディング作品は、その問題を乗り越えるためのヒントのようなものについて、演劇という表現から疎外されている人たちからの演劇的提示です。それはわずかなともしびかもしれませんが、観る人ひとりひとりの表現する力、生きる力になれば幸いです。
本作品は、稽古を重ねて記録した音声や映像に、本番で演じられる出演者の演技を重ねながら、インターネットを通してライブ映像で観ていただきます。コロナ禍の中、演劇から、皆さんのこころに光が届くことを願っています。

 

稽古の進捗を公開しています!

物理的に「いっしょに作る」ことは困難ですが、ビデオ会議や稽古動画をとおして共有しながら、日本と韓国それぞれの場で創作しています。作品について語り合うことはもちろんですが、障がいということをめぐる日本と韓国の違いや、逆に同じであることなど、互いを知るために言葉を重ねています。ご興味のある方もご覧いただけるよう、日韓でやりとりしている稽古動画や、その稽古動画を見た後に意見交換を行う日韓ビデオ会議の様子(演出家・作家も出席)を鳥の劇場ウェブサイトにて公開しています。(鳥の劇場ウェブサイトを見る

 

配信の視聴方法

日本編の配信は、鳥の劇場のYouTubeアカウントより無料でご視聴いただけます。
耳の聞こえづらい方にもご覧いただけるよう、日本語字幕をつけて配信します。また、韓国語話者の方向けに韓国語字幕をつけたバージョンも同時に配信します。

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 韓国・日本の各オーガナイザーより

*韓国側オーガナイザー:韓国芸術総合学校教授 李星坤(イ・ソンゴン)
「とある村」プロジェクトは、韓国芸術総合学校演劇院の「主なき土地」が鳥の演劇祭に招聘されたことから議論が始まったものである。当日、「鳥の劇場」は、BeSeTo演劇祭の一環として大学交流を企画した。そこに私たちが招聘されたというわけだ。韓国芸術総合学校と鳥の劇場はMOUを締結し交流していく事を約束した。民間劇団と国立大学の交流協定は稀な事である。
「障がい」をテーマに「とある村」プロジェクトを進めることになったことは何よりも嬉しい。障がいは条件ではなく芸術の豊かなテーマだ。最近では、狭義の「障がい」という概念に縛られるより文化の多様性の構図の中で新たに定義しようと試みている。障がい者だけでなく、障がい叙事、障がいのある人とない人のコラボレーション、障がいのある観客の為に作られた演劇などを包括して、包括的芸術(inclusive arts)に再構成しようという意見もある。伝統的な演劇美学の概念を覆す美学的可能性を示してもいる。「とある村」プロジェクトがその可能性を見せてくれたらと思う。ひいては貿易摩擦で冷え込んだ日韓関係の改善の小さなきっかけにでもなってくれれば、それ以上望むことは何もない。

 

日本側オーガナイザー:鳥の劇場 芸術監督 中島諒人
韓国芸術総合学校と、「障がい」という今日的なテーマで共同事業ができることを光栄に思う。今年はコロナ化のため、直接会っていっしょに演劇作品を作るという当初の予定は変更せざるを得なかったが、ビデオ会議や映像のやり取りなどを通じて、丁寧に日韓双方の状況を共有できたことは、逆にこの大きなプロジェクトの始動の為にはよかったかもしれない。何しろこの事業は、日本と韓国というかく壁ばかりが意識されがちな関係の中で、演劇の創作を通じて障がいという壁を超えていろんな人が共に生きることの豊かさを発見し深めていこうという壮大なものだ。けれどその壮大さにも関わらず、着手してみてすぐ分かった、このコラボは生きることや表現することの根本に人を立ち帰らせる力を持っている。リモートの交流を通じても、本質的な果実をすでに生み始めている。
「とある村」プロジェクトのネットで公開している映像、リーディング上演、トークなどを通じて、今回生まれた可能性の芽をぜひ多くのみなさんに知っていただきたい。現代生活の中で我々が忘れがちな、他者への優しさや寛容さという人間の本性について、心の深いところで何かを思い出させてくれると思う。

 

問い合わせ先 特定非営利活動法人鳥の劇場

689-0405 鳥取県鳥取市鹿野町鹿野1812-1
TEL/FAX 0857-84-3268   E-mail info@birdtheater.org