介護・介助や子育てなどケアを必要とする人に対して、ケアする人が圧倒的に足りない時代がやってきます。対応策として、海外からの労働力の受け入れや、医療・介護ロボットの導入が進められています。
新しいケアの担い手に期待する一方で、外国人労働やテクノロジーによるケアに懐疑的な人は多くいます。身近な人でなければ安心できない・信頼できない気持ちが生じるのはなぜでしょうか。
そこで、外国人労働者やテクノロジーを導入している現場から「人が、人として、人を気づかう」とは何かを捉えなおします。企業やクリエイターも含め、人と関わる繊細で感情的なケアの現場に必要なことは何かを学び語りあいます。
日時: 2016年12月12日(月)13:30~17:00(受付開始 13:00)
会場: 川崎フロンティアビル 2F KCCIホール(〒210-0007 神奈川県川崎市川崎区駅前本町11-2)
定員: 150名
参加費: 無料
対象: ケアの課題に取り組んでいるNPOや福祉事業所、企業、関心のある方全般
主催: 一般財団法人住友生命福祉文化財団、一般財団法人たんぽぽの家
共催: 川崎市
後援: 神奈川県
協力: 公益社団法人かながわ福祉サービス振興会
基調講演
人工知能の思いやり ~ロボットをケアの視点から見つめなおす~
誰かを思いやることと、自分自身が豊かな人生を送ることの両立の難しさを感じている人は多くいます。その両立を支える存在としてA(I 人工知能)ロボットの進歩が期待されていますが、感情をやりとりする繊細なケアの現場での活用は危惧されています。「弱いロボット」「引き算のテクノロジー」など、ケアの視点から見えてくるロボットを通じて、ひとりの人間として、ケアにたずさわるときに必要なことを考えます。
岡田 美智男 (豊橋技術科学大学 教授 /愛知)
キーノート・トーク
テクノロジーと人の距離 ~異質な他者との関わりあい~
これからも技術が進歩を続ける中で、技術を開発する人は何を想い、ケアの現場は何を大切にしていくのでしょうか。まだまだ分かりあえない他者とどのように向きあうか、テクノロジーの最近の動向を踏まえながら考えます。
塩瀬 隆之 (京都大学総合博物館 准教授 /京都)
実践報告
ケアの新たな担い手 ~信頼までの葛藤と折り合い~
外国人労働やテクノロジーを迎えるときに、何が課題となるのでしょうか。抵抗感がある一方で、人と人が向きあう時間が増え本来の「人としてのケア」ができる良さもあります。現場が受けいれるまでの葛藤・期待から、新たなケアの担い手の可能性について考えます。
① 齋藤 英一郎 / 社会福祉法人富士白苑 介護老人福祉施設 中井富士白苑 生活支援課長
施設の中にいる人たちは、ロボットと一緒に暮らすことをどのように受けいれ、どんな変化が生まれたのでしょうか。ともに生活しているからこそ見えてくる“人間らしいケア”とは何か、自律型コミュニケーションロボット「パルロ」と実際に過ごしている現場から考えます。
② 牧野 裕子 / 社会福祉法人千里会 第2新横浜パークサイドホーム 施設長
経済連携協定(EPA)をきっかけに外国人介護福祉士候補者の受けいれをはじめ、受けいれを辞める施設も多いなかで外国人と働き・暮らすということを7年間実践しています。「外国人」と分け隔てることのない現場から、“他者を気づかう”とは何かを考えます。
パネルディスカッション・質疑応答
大切な人のケアを誰に託せるか
介護・介助や子育てなど身近な人をケアすることが増えていくなかで、今まで接したことがない存在に、大切な家族や自分の身を任せることはできるのでしょうか。あるいは、ただ役割を託すだけではなく、一緒に暮らしていくために必要なこと、これからできることについて大学・行政、そして福祉と企業をつなぐ視点から議論を深めます。
岡田 美智男 / 豊橋技術科学大学 教授
滝口 和央 / 川崎市経済労働局 次世代産業推進室 ウェルフェアイノベーション担当係長
上竹 淳二 / 富士ソフト株式会社 プロダクト・サービス事業本部 PALRO事業部
牧野 裕子 / 社会福祉法人千里会 第2新横浜パークサイドホーム 施設長
瀬戸 恒彦 / 公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 理事長
コーディネーター 塩瀬 隆之 / 京都大学総合博物館 准教授