たんぽぽ通信 vol.107

新年度のご挨拶 ~被災地で開催した『アート化』セミナー~

 東日本大震災から2年が経ちました。想像を絶する状況からいままで、被災地のみなさんが復興をめざして歩んで来られたことに対して心より敬意を表したいと思います。
 去る3月24日、被災地岩手で開催した「福祉をかえる『アート化』セミナー@岩手」に参加しました。このセミナーは、エイブルアートの活動をともに進めているエイブルアート・ジャパンが、震災で被害を受けた障害者施設などに対して、アートによる「生きる力の取り戻し」と「仕事の復興」を支援することを目的に財団法人JKAの助成で企画しました。1月には宮城、福島で、3月の岩手と合わせて3ヶ所で開催するセミナーでした。岩手の会場いっぱいに集まった65名ほどの参加者のうち、県内の宮古市や県外の青森市の方から、こうしたセミナーを地元でもやってほしいという声があがり、まさしくアートによるエンパワーメントを肌で感じた1日となりました。
 もともと、この「福祉をかえる『アート化』セミナー」は、奈良のアートセンターHANAを舞台に2002年から毎年開催してきたものです。今年2月16日~17日には、記念すべき10回目のセミナーを開催して、全国から200名近くのみなさんが集まり、過去最高の参加者数を記録しました。参加者を見渡すと、障害者施設で働く若いスタッフ、なかでも女性が多い印象があり、現場で新しい仕事を創造しようとする人たちの熱気が満ちていました。たんぽぽの家のスタッフにとっても、セミナーの運営を担いながらこうしたみなさんと交流できることはとても刺激的で、学ぶことの多い2日間でした。

【福祉のなにを「かえたい」と考えてきたか】

 あらためて、このセミナーのタイトルを考えてみたいと思います。私たちは、福祉のなにを「かえたい」と考えてきたか。それは、「みんな同じであることをよしとするような状況」ではないかと思います。障害のある人たちが働く施設の職種や業態は、どうしても同じものになる傾向が強くあります。また、この4月に障害者総合支援法が施行されましたが、事業者は連携して自分たちの不利益にならないように努力します。これも、経営基盤が同じ制度の上にたっているためで、新しいものを生み出そうとする創造力よりも安定的であることが重んじられているのです。
 障害のある人の個性や感性、能力はそれぞれ違うはずです。それであれば、仕事の内容も違ってあたりまえですし、施設ごとに違いや特徴がある方が、みんな生き生きして楽しいし社会からの関心も集まるのではないかと思います。セミナーの『アート化』というタイトルには、『多様化』という意味が込められているのです。必ずしも、みんなが絵を描きアート活動をはじめることを推進しているわけではなく、それぞれの施設やメンバーごとに、新しい仕事や活動に挑戦しようとする力が発揮できる状況をつくることが『アート化』なのです。
 東北の被災地をはじめ全国各地の障害者施設では、社会状況や現場の課題がきっかけとなり、新しいモノやコトを創造しようとする人たちが現れています。たんぽぽの家も、こうした流れのなかで、お互いに刺激をし合いながら、障害者施設を取り巻く環境が創造的で、もっともっとおもしろくなるようにしていきたいと思います。
 平成25年度も、みなさんのご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 

成田 修

 

 

フォーラム「こどものてつがく美術館」

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 3月10日(日)、国立国際美術館(大阪・中之島)にてフォーラム「こどものてつがく美術館―鑑賞から表現へ こどもたちと発見する美術/館の楽しみ方」を開催しました。昨年秋から、京都、奈良、大阪の3つの美術館と連携し、言葉、音楽、身体などを使った4つのワークショップの報告および成果を共有しました。参加者は、美術館関係者、こどもの絵画教室やワークショップをされている方、学生や研究者など約40名に参加いただきました。前半は、哲学者の方から、作品を前にして子供たちの様子や哲学をすることの意味や意義を伝えていただきました。後半は参加者も含めたディスカッションをおこない、いろんな立場から意見が飛び出しとても興味深い時間となりました。「こども」と「表現」をキーワードに今後も活動を広げていきたいと思います!(阿部)

 

 

 

第31回わたぼうし橿原コンサート

 3月10日・かしはら万葉ホールにて、第31回わたぼうし橿原コンサートを開催しました。雨にもかかわらず、多くの人たちに観に来ていただき、ありがとうございました。
 ステージでも多くの人たちに関わっていただき、オープニングでは「スーパーダンススタジオ」のパワフルなダンスで幕があき、大淀の知的障害のある人たちのサークル「電車でGO!」とのダンスコラボも圧巻でした。今回のゲストパフォーマンス「和太鼓やまと楽鼓の会」では重度の障害のある人たちと一緒に活動しており、力強い太鼓の演奏を披露してくれ、山口県からは「みかんの花」のみなさんが応援に駆けつけてくれ、ステージを盛り上げてくれました。エンディングのわたぼうしの大合唱では、ステージだけでなく客席も一体になって幕を降ろしました。ぜひ、来年もお越しください。(森本)
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「HANA展」終了しました!hana.png

 3月16日から31日にかけて、群馬県前橋市にある家具や雑貨のお店「Wandervogel」で「HANA展」が開催されました。HANAから4人の作家の作品やアートグッズを展示販売。また、店長さんのお声かけで近隣の街中カフェ4店舗でも作品が展示され、楽しめるようにご協力いただきました。お店のブログで作品やグッズの魅力がていねいに紹介され、出展したほとんどの作品がお客さんの手元にわたるほどの大盛況ぶりでした!(藤井)

 

 

 

 

 

猫好きさん必見♪“猫化NEKOBAKE”展に参加します!

 みなさん、のらねこブローチをご存知ですか?
HANAのアーティスト武田佳子さんが大好きな猫をモチーフに作っている、和紙でできた上品なブローチです。2匹と同じ猫はいなく、ニンマリとした表情が人気の秘密のようで、誕生から1年間で100匹以上ののらねこを送り出してきました。
 そんなのらねこ達が今度は大阪北浜のギャラリー「遊気Q(ゆうききゅう)」に登場です。4月24日(水)~5月17日(金)の間「遊気Q」で開催される猫モチーフの作品だけを集めた“猫化NEKOBAKE”展にのらねこブローチが参加します。陶芸ガラス布小物イラスト編み物…など色々な作家さんが猫モチーフの作品を出品されます。
 同じビルには老舗の丸福珈琲店があるのでおいし~いホットケーキを食べに展覧会と合わせてぜひ行ってみてくださいね。(渡邉)neko.jpg

【アクセス】
大阪市中央区伏見町2-2-6 青山ビル1F
Tel:06-6231-7233
地下鉄堺筋線北浜駅4番.5番出口より2分
京阪北浜駅より3分
地下鉄御堂筋線淀屋橋駅11番出口より5分

 

 

 

 

今春も「赤いギャラリー」で展覧会をします!

 毎年恒例の展示販売会「おしゃべり☆チャンネル」!今年も大阪市南船場の真っ赤のギャラリー「浜崎建立現代美術館」で行われます。今回は会期中に作家本人による書き下ろしのワークショップもあります!ぜひぜひ足をお運び下さい。(吉永)

催名:ABLE ART PROJECT おしゃべり☆チャンネルvol.3
会場:浜崎健立現代美術館(大阪市中央区南船場4-11-13 REDビル/TEL06-6241-6048)
会期:2013年4月4日(木)?5月7日(火)
会館時間:12:00 ~ 20:00 (定休日:水曜日)
出展作家:木村昭江、中村真由美、山村晃弘、西ノ園有紀

【おしゃべり☆ワークショップ】osya.png
参加費:各回2,000円 (要申込み) 申込み締切:4月10日(水)
問合せ先:Tel 0742-43-7055 
e-mail yoshinaga@popo.or.jp(担当:吉永)
◎4月13日(土) ①13:30?14:15 ②15:00?15:45
お好きな動物のリクエストをいただき卓上を彩るイラスト
カードを作ります。
作家:中村真由美
◎4月27日(土) ①13:30?14:15 ②15:00?15:45
ご来場のみなさんとダルマをモチーフに招福キャラクタ
ーを作ります。
作家:木村昭江
※作家の変更の可能性があります。

 

 

 

 よりどりアートフェア開催中!

「よりどりアートフェア」
4月9日(火)~27日(土)11:00~17:00
たんぽぽの家HANAギャラリーにてs-img7139.jpg

 春らしい色合い、おもわず自宅のどこに飾ろうか迷ってしまう、そんな作品が集まりました。
障害のある人の原画、複製画が手頃なサイズや価格でお買い求めいただけます。あたらしい生活に、あたらしいアートを。ご来場をお待ちしております。(岡部)

協力:NPO法人エイブル・アート・ジャパン

 

 

 

演劇的ワークショップのご紹介

engeki2.jpg 毎週金曜日にシアターポポで行っているプログラムです。午前は演劇を使った遊びをしながらメンバーひとりひとりの表現方法を発見するために色々な事柄に目を向けています。例えば、日常の生活でやっている行動をちょっと大げさにしてみることで時には目から鱗のような発見もあったりします。午後はそんな遊びを応用してお芝居の稽古をやっています。今は昨年たんぽぽの家で上演した『手なし娘』を劇場で上演するため、稽古に励んでいます。
 私たちは、演劇を介して多くの人とつながり、わかりあうものにしていければいいなと考えています。ボランティアの方々にもお芝居の創作過程に加わっていただいたりして、色んな目線から表現の手がかりを発見したいと思っていますので、興味のある方はお気軽に佐藤までご連絡下さい。(佐藤)

 

 

 

 楽食だより ~毎年2月に仕込む楽食恒例の味噌作り~miso.jpg

 楽食サービスでは、皆さんが食事で食べている味噌はすべて手作りです。国産の大豆に麹と塩を混ぜ、しっかりと手で混ぜ合わせていきます。この「手」の力が大きいんです。人間の手のぬくもりがきっと生きている麹をより元気にするのではないかと思います。私たちはいつも、心の中で「おいしくなれ おいしくなれ」と声をかけながら仕込みます。どうかじっくり楽食サービスのみそ料理を味わってください。(家令)

 

 

 

 新コーナ誕生!たんぽぽ今昔図鑑

 ここではメンバーの若かりし頃を写真やインタビューでたどっていきます。第一弾はたんぽぽの治安維持部隊?いつも警察情報をお届けしてくれる萩原宏一郎さんです。

 

hagi3.jpg〇ハギさん、それぞれの写真について教えてもらえますか?
萩「小学校1年生のときに家の前で自転車の練習をしているのと、中学校2年生のときに羽子板をしているところです」
〇小学校のときから警察が好きだったんですか?
萩「そうや!とくにあそこや、生野警察や!」
〇中学校のときの思い出、なにかありますか?hagi4.jpg
萩「ない」
 〇羽子板の写真については何かありますか?
萩「写真に写っている大畑先生が好きな先生やった。優しくて若くて、手こずらせたけど怒られはせんかった」

 

 まだまだ紹介しきれないほどたくさんの写真を持ち歩いておられます。ハギさんの少年時代が気になる方は声をかけてみてはいかがでしょう!(中島)