たんぽぽ通信 Vol.87

01 ひとめでわかる医療・福祉情報誌』完成フォーラム「終のすみかはどこ?――支えあいの地域づくり」

7月10日に奈良県橿原文化会館小ホールにて開催、300名近くの方にご参加いただきました。
ディスカッション「支えあいのネットワークをつくる」およびドキュメンタリー映画『9月11日』(理想とする介護を実現しようと、自ら施設を立ち上げた若者たちによるトークライブの記録)の上映を行い、参加者からは「終のすみかはどこなのかという問いは、自分にも問いかけられる問題としてあるのだということを知った」、「今日は楽しく聞かせていただきました。今までの事を思い出し、涙も出ました」といった感想が寄せられました。(井尻)

02 ケアする人のための参加型インターネット放送局「ケアラーズジャパン」がプレオープン!


mail.jpeg

ケアラーズジャパンは、ケアの多様さ・豊かさを番組にして、思いを共有できるソーシャルメディアです。家族をケアする家族やケアの仕事をする人たちの癒しと回復を応援し、ケアに関心をもっている人たちがつながりあえる番組づくりと関係づくりをめざします。現在、プレオープン期間のキャンペーンとして、わたぼうし音楽祭の録画中継などもご覧いただけます。たくさんのアクセス、お待ちしています!(北田)

サイトはこちら→http://care-jp.tv/

 

 

03 エイブルアートセンターin韓国 オープン

 

mail-2.jpeg

 

7月16日に、韓国・水原にあるエイブルアートセンターがグランドオープンしました。このセンター最大の特徴は、運営母体がキリスト教の教会であり、韓国国内ではじめてとなる、障害のある人がアート活動を行うアートスタジオやカフェが共存している点です。創作スペースは、

mail-1.jpeg

アートセンターHANAをモデルにした絵画や陶芸の創作スタジオのほか、韓国内唯一のアニメーション映像制作の撮影スタジオまで完備!カフェスペースは、韓国中のカフェを訪れ厳選されたインテリアが美しい空間で、隣接する団地の住民の憩いの場となっていました。竣工式典には、教会信者、障害のあるメンバー、地域の住民など総勢約300人が集い、盛大なセレモニーが開催。日本からは、財団法人たんぽぽの家理事長播磨が祝辞を伝え、メンバー山野将志さんがアーティストとして活動する様子をスライドで紹介し、韓国で障害のある人がアートを通じて飛躍できる場所となることを願いメッセージを贈ってきました。(藤井)

04 東日本大震災におけるたんぽぽの家での復興支援について Vol.5

たんぽぽの家として行っていく震災支援の1つ、被災地の障害のある子どもたちの余暇活動支援に向けた研修を目的に4月11日?4月14日宮城県の仙台市に行きました。
仙台市にある関口怜子さんが主宰されている「ハート&アート空間 Be I」で活動しました。そこでは絵画やもの作りなど、多種多様な活動を通じて、子どもたちの表現力を引き出し、可能性や自立心を育てるワークショップが日々行われています。そこで、その時に行われていた絵画のワークショップに参加させてもらいました。参加していた子ども達は、時折地震の恐さを口にするものの、活動中は何気ない会話に笑い合い、思いっきり絵を描く事で発散している様子でした。関口さんは、子どもたちが自立的に表現出来る環境をとても大事にされていて、震災後もそれは変わらず実行されていました。ワークショップを通じて、子どもたちが知らないうちに溜めてしまっているストレス発散できる場、また日常の生活に戻れる時間の必要性を感じました。(三輪 竜郎)

05 今月のおすすめ!SHOP紹介

今月号では、たんぽぽの家のグッズを販売していただいているお店を紹介します♪
ロハスなセレクトショップ「ビオチェド」
滋賀県大津市比叡平3-21-23 TEL:077-529-0028
営業時間 11:00?18:00 定休日:日月曜(その他不定休)
「遠方からお越しの際は前もってご連絡下さると嬉しいです」とのことです。
http://biochedo.shop-pro.jp/
京都の百万遍から30分もバスに揺られて山を越えれば、滋賀ののどかな住宅街が広がります。下界よりも少し涼しいせいか、「遠くまで来た」気分にさせます。あぁ、京都と滋賀がお隣どうしなのは知ってたけど、バスでひょいっと行けるものなのですね。
比叡平のバス停から2?3分歩けば、「ビオチェド」と書かれた手づくりの看板と、四角くてかわいらしい民家が顔を出します。久しぶりに会う友達の家に遊びに来た様な感覚で、お茶をよばれ、店内に並んだ食品や珍しい民俗テイストの洋服や、施設・作業所でつくられた雑貨を手にとり、その場で試着までして、あっと言う間に2時間を過ごしました。
比叡山が臨める窓辺には、おしゃれバードとおしゃれにゃんが、いるんですよ。自分ちのように気持ちよさそうに外を眺めております。
今回写真はありませんが、これを読んで、色々と想像がふくらみましたか?百万遍からバスに乗って、ビオチェドさんでのひと時を、楽しんでみてください。そう、そして、店主のオガワヨシミさんともお喋りしてみてください。あれ、この人のこと、随分前から知っていた様な?と思うのではないでしょうか。(島)

06 彩葉サロン講演会「現代お墓事情あれこれ」開催のおしらせ

とき:2011年9月9日(金) 13:30 ~15 :40
ところ:奈良市西部公民館 第1・第2研修室
講師:十輪院 住職 橋本純信さん

ケアする人や広くケアに関心のある人たちが集い、学ぶ場として開催されている彩葉サロン。今回は人生のエンディングについての講演会です。
東向商店街で相談センターを開業しておられる十輪院の橋本純信住職に、最近のお墓やお葬式のこと、よりよく生きるための智慧についてお話しいただきます。誰しもいつかは辿り着く終着地のこと、ご一緒に学んでみませんか。
(お問い合わせ・お申し込み:たんぽぽの家 佐賀・松田美紀まで)

07 楽食だより

今回は、震災後懸念されている「海の放射能汚染はどうなっているのか」について少し触れてみたいと思います。
「セオリー」という雑誌に紹介されていたものを一部抜粋して紹介します。震災直後、東電の発表によると、原発2号機付近からだけで「すくなくとも4700テラベクレル(テラは1兆倍、ベクレルは放射線を出す能力の量)の放射性物質を含む高濃度汚染水が海に流出したと推定」される。原子力安全委員会は海に流された汚染水は拡散し希釈されるので、魚介に取り込まれる放射能は問題にするような量ではない、と言う。それに異を唱えるのは東京海洋大学名誉教授の水口憲哉氏だ。「コウナゴからの高い濃度の放射能が検出された問題ですが、あれは序の口です。海水が汚染されればプランクトンや海藻が汚染され、それを食べる魚が汚染される。コウナゴの次の段階として、ヒラメやスズキの放射能を計測し、そしてさらにカツオなど大型魚の内臓や筋肉中の放射能を検査対象とし始めましたが、ただし検出されるには時間がかかります。いまカツオやマグロを計測して大丈夫でも、半年後には蓄積量が上がっている可能性があります」
「神奈川から西の魚は大丈夫かというと、けっして安心できません。マグロやカツオは回遊魚なので、神奈川以西どころか日本中で検査が必要でしょう」「断固とした安全基準の設置しかないのです」
楽食サービスは、今後しばらく安全基準がはっきりするまで、わかめは韓国産に、魚は取引先である「七海水産」に毎回産地を確認し、悲しいことですが、日本近海のものは避けたいと考えております。
牛肉に関しましても、安全が確認されるまでは、オーストラリア産の肉を使用します。奈良産のものを入手できないかも検討していきます。日本の食を守りたいという気持ちは今も強く持っています。楽食サービスは国産の食材にこだわり、皆様に安心して利用していただいておりました。今後も基本となる考えはかわりませんが、「放射能」はほんとうにやっかいなものです。この問題を常に念頭に置き、私たちはどう行動していくべきか、信頼できる情報をしっかりと入手して、皆様に不安な気持ちをいだかせないように努力してまいります。ご質問等は、いつでもお受けします。(家令)

08 たんぽぽ人物図鑑

mail-4.jpeg

財団法人 松田美紀(まつだみき)さん

5月から週に3日、財団で働かせていただいております松田美紀です。以前から「どうして日本にはケアをする人を支援する"しくみ"がないんだろう?」と思っておりました。「ケアを豊かにする」という意識で色々と学ばせて頂き、早くお役に立つことができるようになりたいと思っております。よろしくお願い致します。

 

 

mail-3.jpeg

アートセンターHANA 佐藤拓道(さとうひろみち)さん

7月からHANAで働いています。佐藤拓道です。横浜から来ました。横浜では知的障害者施設で働きながら演劇活動もして来ました。演劇については知っていることも多いと思うので何かのお役に立てたらと思っています。パスタ料理が得意です。まだまだ不慣れですがどうぞよろしくお願い致します。

 

 

わたぼうし事務局 酒井のつぶやき

わたぼうし語り部塾編
小雨そぼ降る6月18日(土)、古い町並みが今なお残る奈良市の名所、ならまちにある音声館(おんじょうかん)で、わたぼうし語り部塾の発表会が行われた。
わたぼうし語り部は、障害のある人がその障害を個性として生かし、民話や創作童話、自分史などに自らの思いを重ね合わせ、聞く人の魂に働きかける表現活動である。たんぽぽの家の障害者アートのパフォーミングアーツ部門の取り組みとしては最も古く、1980年にはじまったたんぽぽ自由学校のお話し教室がきっかけというのだから、かれこれ30年を超えるロングランの活動だ。その後、「わたぼうし語り部学校」や専科コース、プロ養成コースをとおして、100名を超える語り部たちを世に送り出し、現在の語り部塾に至っている。
この語り部塾には、滋賀の田中徳吉さん、三原の阿部奈緒子さん、岩手の菊池洋平くん、大阪の大門由香ちゃん、そして、この春から晴れてたんぽぽの家のメンバーとなった河野望くんの5人の個性派が、年3回の合宿と通信講座をとおして語り芸を磨いている。この塾のおもしろいところは、芸を磨くだけでなく、生き方を学んでいるところだろう。重度の障害に加えて二次障害とも闘いながら、塾に参加することを生きる糧に、日々を調整している。だからこそ2泊3日という短い合宿では、寝る間を惜しんで練習に励み、芸を磨き、交流し、会話を楽しむ。わたぼうしの語りは身体全体を使い、存在をかけて語るのが神髄だが、彼らは自らの存在をかけて塾に参加している、日々生きていると言っても過言ではない。この度の発表会は、こうした一年間の集大成なのだ。
この塾生5名に、今回はたんぽぽの家の語り部プログラムのメンバー、十亀史子さん、そして、語り部塾の元塾生で、現在はストーリーテラーとして各地でお話しの世界をプレゼントしている小林サヤ佳さんが加わり、7名の語り部が極上?の語りを披露した。
彼らの語り・・・上手いか、というと上手くはない。下手か、というと下手ではない。どういったらいいのだろう、そう、味がある。時に甘く、酸っぱく、そして時に辛く、苦い。
トップバッターは田中徳吉さん、自作の物語「びわこの八月」で会場をやわらかい空気で包む。つづいて菊池洋平くん、東日本大震災で被災し、今なお心は揺れつづけている。彼の語り「海と灯台の本」は、震災の現実が重なり、聞く人の心を打った。大門由香ちゃんは、毎回いろんなキャラクターになりきる。今回はちびまる子ちゃん、会場を笑いの渦に包みこんだ。河野望くんは「へっぴりよめご」、わたぼうしコンサートで歌うボランティアとして活動しているからか、それとも日頃の練習の成果か、存在感が出てきた。そしてラストは阿部奈緒子さん、大好きな童話「ろくべえまってろよ」、絵画の個展を開くなど、語り以外のアート活動も行っているからか、表現力がついている。それぞれがそれぞれに成長しているのを感じた。不安と期待のなかで緊張しながらも語り終えたあとの彼らの安堵の表情、また、客席とのあいだに生まれる言葉に表わしがたい空気、これを宇宙観というのだろうか。こうした場面に遭遇できたのは、語り部の事務局を担うものとして何よりの喜びだ。
ゲストの民謡・河内音頭牧岡会の皆さんの河内音頭は、こうした舞台と客席のあいだの緊張感を解すだけでなく、祝祭としての発表会のフィナーレにふさわしい演出となった。満席だった客席の人たちに語り部たちが加わり、そして、なんと黒子の衣装を着たスタッフまでもがその輪に加わり、盆踊り会場に大変身。「盆踊りというのは、踊ることを強要する必要はない。日本人の心の中にある血が騒ぎ出し踊らずにいられなくなる。」という話しを誰かから聞いたことを思い出した。踊らずにいられない、語らずにいられない、歌わずにいられない、何かをせずにいられないという衝動、忘れてました。(酒井)