このページは、「エイブル・アート・ムーブメント30周年記念フォーラム」において、光の広間で展示している内容や、販売している商品について、音声でわかりやすく聞けるよう、読み上げ用テキストを掲載しています。
視覚障害のある人をはじめ、どなたでも展示を楽しむための案内としてご利用ください。
光の広間 4つのコーナー
光の広間には4つのコーナーがあります。以下のリンクを選択すると該当部分にジャンプします。
①アートがつなぐ人と社会
社会を創造的にかえていくためのさまざまな活動がはじまっています。国内外で取り組まれている18の団体の事例を紹介します。
展示タイトルと団体名を目次にしています。リンクを選択すると該当部分にジャンプします。
目次 アートがつなぐ人と社会
・展示1 手ざわりのある鑑賞と創作 / 団体名 アトリエみつしま
・展示2 文化芸術アクセシビリティ / 団体名 国際障害者交流センター ビッグ・アイ
・展示3 THEATRE for ALL / 団体名 precog
・展示6 支援センター・広域センター / 団体名 障害者芸術文化活動支援センター 近畿ブロック
・展示7 障害者等による文化芸術活動推進事業 / 団体名 文化庁
・展示9 浜松ちまた会議 / 団体名 クリエイティブサポートレッツ
・展示11 オープンアトリエ / 団体名 アーピカル☆、エイブル・アート・ジャパン、Good Job! センター香芝
・展示12 おしごとなにしゆうがー? / 団体名 アートセンター画楽
・展示14 社会にオープンなフォント / 団体名 シブヤフォント
・展示16 Easy Read Information / 団体名 Sandwishes Studio/三明治工
・展示17 ひとりの世界を深く見つめる記録 / 団体名 MEDIA PEELING
展示1 手ざわりのある鑑賞と創作
見える・見えないの境界を越えてアートを楽しむ実践
時間をかけて一つの作品を言葉で鑑賞する「ぎゅぎゅっと対話鑑賞」や、手ざわりに特徴のある素材を使って創作する「視覚に障害のある人・ミーツ・マテリアル」など、活動の一端を紹介します。さらに、触覚を通して自分の感覚を表現できるツール「手ざわりカード」も体験できます。視覚以外の感覚でアートを味わい、表現する楽しさにふれてみてください。
団体名称 アトリエみつしま
活動拠点 京都
全盲の美術家・光島貴之を代表に、視覚に障害のある人とない人がともに新しい文化を育むことをめざして活動している団体です。現代アートの企画展や、見えない人・見えにくい人・見える人が一緒に参加するワークショップを開催しています。展覧会、創作の場、言葉による鑑賞を通して、異なる立場や感覚の人たちが互いに出会い、感じ方を共有しながら、創造的な対話を生み出しています。
展示2 文化芸術アクセシビリティ
安心して舞台芸術を楽しめる社会づくり
2025年大阪・関西万博で上演した国際共同制作「Dance Drama EXPO2025 Breakthrough Journey」における鑑賞サポートの取り組みを紹介します。多言語字幕、音声解説、補聴支援、車いす席など、安心して公演を楽しめる環境づくりの実例を展示。出演者・スタッフ間の対話を促す多言語冊子も紹介します。
団体名称 国際障害者交流センター ビッグ・アイ
活動拠点 大阪
障害の有無や国籍・文化の違いを超えて、多様な人々が出会い、学び、表現できる文化・交流施設です。舞台やワークショップ、国際交流事業を通して、誰もが文化芸術にアクセスできるインクルーシブな社会の実現をめざしています。障害のある人や多様な背景をもつ人々が芸術を「創る・観る・支える」ことができる環境を整え、全国の劇場・文化施設と連携した鑑賞支援や教育普及にも取り組んでいます。
展示3 THEATRE for ALL
誰もがアクセスできるオンライン劇場
私たちのサービスの原点である「見る(動画配信)」と「読む(オリジナル記事)」の2つの軸から、アクセシビリティに特化した取り組みを紹介します。演劇作品『僕がうまれた日』の映像では、バリアフリー字幕や英語字幕など多言語対応の実例を体験できます。冊子やチラシを手に取って、誰もが表現を共有できる実践の広がりをご覧ください。
団体名称 precog
活動拠点 東京
活動テーマは“横断と翻訳”の制作会社。アーティストやクリエイター、研究者など多様な専門家と協働し、アートを福祉・教育・国際交流などとつなぎ、分野を横断しながら芸術の新しいかたちを社会へ提案します。2021年にオンライン劇場「THEATRE for ALL」を開設。字幕や音声ガイド、手話、多言語翻訳を通じ、誰もが舞台芸術や映像作品にアクセスできる環境を整えています。
展示4 やまもとこぐまサロン
ともに学びあう生涯学習の場づくり
NPO・町・地域が連携し、宮城県山元町で障害のある人のための独自の生涯学習プログラムを共同でつくっています。設立当初から、対話や学びの場、気軽に集い相談できる場所づくりに取り組んできました。障害のある人とない人がともに学び続けることができる「ユニバーサルな学びの場」を広げながら、共に生きる地域社会の実現をめざしています。
団体名称 ポラリス
活動拠点 宮城
東日本大震災で被災した宮城県・山元町で2015年に設立。障害のある人やその家族が復興から取り残されないように、そして、生きる力を取り戻すことにつながる活動に取り組んできました。「山元が元気になるアートプロジェクト」では、大津波で壊滅したJR常磐線が2016年に復旧することに合わせ、スーパーマーケットのフレスコキクチ・山下駅前店に壁画「Happy やまのもと」を制作。
展示5 障害者芸術文化活動普及支援事業
芸術文化に触れ・楽しみ・深める社会の推進
障害者芸術文化活動普及支援事業のパンフレット(令和7年度版)と、令和3~6年度に全国各地の支援センターがまとめた活動報告書を展示しています。支援センターとは、障害のある人の芸術文化活動を支える地域の拠点のこと。相談支援や創作機会づくり、人材育成など、各地の取り組みが紹介しており、全国の実践を一望できる資料です。ぜひご覧ください。
団体名称 厚生労働省
活動拠点 全国
「障害者芸術文化活動普及支援事業」を2017(平成29)年度にスタートし、障害のある人が芸術文化にふれ、楽しみ、深められる社会づくりを進めてきました。地域ごとに「相談支援」「機会創出」「人材育成」「情報発信」を担う中間支援事業として展開しています。また、本事業に加えて「障害者芸術・文化祭の開催」など、障害のある人とアートに関する多様な支援にも取り組んでいます。
展示6 支援センター・広域センター
地域に根差した専門的な相談役
近畿ブロックで展開されている、障害のある人の芸術文化活動を紹介します。福祉施設と学校による合同企画展や、アートを通じた居場所づくり、ホテルや旅館とのアートマッチングなど、多彩な取り組みが並びます。さらに、鑑賞・展示の実践を学ぶセミナーや福祉施設への出前教室など、みなさんの今後の活動のヒントとなる内容も含まれています。
団体名称 障害者芸術文化活動支援センター 近畿ブロック
活動拠点 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山
厚生労働省「障害者芸術文化活動普及支援事業」の一環として、全国的な支援体制を構築しています。身近な地域で芸術文化に関わる支援を受けられるよう、全国47都道府県に支援センターを設置。「ブロック」と「全国」のエリアを設け、支援センターをむすぶ広域センターと全国連携事務局が支援を後押しし、障害のある人や家族、福祉事業所、文化施設とともに地域での芸術文化活動を広げています。
展示7 障害者等による文化芸術活動推進事業
創造・鑑賞・作品発表する機会の拡大
障害のある人の鑑賞や創作の機会を広げ、作品発表や海外発信を支える取り組みを各団体と協働で進めています。文化施設のアクセシビリティ向上や鑑賞サポート、人材育成、複数施設の連携など、多角的な実践を推進。「障害者等による文化芸術活動推進事業事例集」は、令和3~6年度の成果を共有し、今後の改善と発展につなげるためにまとめたものです。
団体名称 文化庁
活動拠点 全国
障害のある人もない人も、文化芸術を通じて個性や能力を発揮できる場を広げていく取り組みです。令和元年(2019年)度から始まった本事業は、文化芸術や社会包摂につながる活動をより豊かに育て、多様な価値観が出会い深まる環境を整えています。さまざまな人が円滑に関われる場づくりを進めながら、表現を通した社会参加を支え、心豊かで多様性のある共生社会の実現をめざしています。
展示8 めばえMOVEMENT
未来の世代へつなぐアウトリーチ
甲賀市では、アーティストの創作が広がる中で、日々の暮らしにアートが届く場をつくり、心豊かなまちづくりを進めています。この甲賀市アール・ブリュット魅力発信推進事業「めばえMOVEMENT」は甲賀市と教育委員会が主催し、やまなみ工房が企画協力。若年層が障がいのある人の多様な表現に触れ、学べる機会を育んでいます。
団体名称 やまなみ工房
活動拠点 滋賀
甲賀市で1986年に設立し、現在は94名の障害のある人が通い、それぞれのテンポで興味や感性を生かした創作に取り組んでいます。展覧会やポートレート集、やまなみ工房を舞台にしたドキュメンタリー映画などを通して作品を発信し、国内外へ幅広く届けています。クリエイティブユニット「PR-y」と服の共同制作にも取り組み、世界14か国で販売するなど、新たな表現の可能性を広げています。
展示9 浜松ちまた会議
福祉を軸にしたケアリングソサエティ
まちを舞台に多様な人々が関わる実践を紹介します。映像では、重度の知的障害者が自由に遊べる場を市民とつくった「オン・ライン・クロスロード」や、地域の人々とアーティストが巨大な張り子を共同制作する「凸凹まつり」など、祝祭的で創造的な試みを上映。「ちまた文化祭」の様子や、冊子『まちづくりを考えたら福祉にたどりついた』も展示しています。
団体名称 クリエイティブサポートレッツ
活動拠点 静岡
障害や国籍、性別、年齢などの違いを超えて共に生きる社会をめざすアートNPOです。活動の核にあるのが「表現未満、」という考え方。誰もがもつ自分を表す行為を、取るに足らないものとせず、その人らしい表現として大切に受けとめる文化を育んでいます。重度の知的障害のある人を中心に人々が交わる場「たけし文化センター連尺町」を拠点に、アートと福祉、まちづくりを横断して活動しています。
展示10 路地の開き
人とまちをつなげるケアとアート
リベルテの文化事業「路地の開き」を中心に、福祉施設が地域と関わる実践を紹介します。映像や記録集では、公園づくりや仮装パレードなど、まちと人をつなぐ活動を掲示。纏(まとい)や小作品は、人とまちを結ぶ風景を示します。さらに、福祉施設を「避難所」と見立てた合宿型訓練にも取り組み、公共性やケアのあり方を探っています。
団体名称 リベルテ
活動拠点 長野
2013年に上田市で設立。日々の暮らしにある「自由」や「権利」を尊重し、障害のある人が地域とともに生きる場づくりを進めています。市街地に4つの事業所を構え、徒歩圏内で互いに支え合うご近所のような関係を築いています。文化事業では、季刊誌『リベだより』の発行や、福祉施設と地域をゆるやかに結ぶプロジェクト「路地の開き」を継続し、まちにひらかれた文化のあり方を発信しています。
展示11 オープンアトリエ
誰もが表現できる開かれた時間と空間
障害のあるなしにかかわらず、誰でも参加でき、自由に表現を楽しめる「オープンアトリエ」。自分を出せる空間、技術を高める学び、おしゃべりする時間、参加者にとって大切なことはそれぞれです。参加した障害のある人、家族、講師、サポーターから生まれる言葉は、アトリエの存在意義を示すと同時に、表現活動や生きることの普遍的な姿にも触れています。
団体名称 アーピカル☆、エイブル・アート・ジャパン、Good Job! センター香芝
活動拠点 宮城・東京・大阪・奈良
5カ所のアトリエを紹介。大阪市内で月1 回のペースで続く「アーピカル☆」(2007年)。NPO法人エイブル・アート・ジャパンが東京都内で展開する「アトリエポレポレ」(1995年)と「エイブルアート芸術大学」(2011年)、仙台市内で展開する「アトリエつくるて」(2018年)。奈良県香芝市のGood Job!センター香芝が開いている「mirumiru」(2016年)。
展示12 おしごとなにしゆうがー?
得意をいかすアートと仕事
内田貴裕が描く「ボトル」などのアート作品に加え、「おみくじだるま」といったクラフト、季節の野菜や加工品を展示します。2024年12月に始まったインターネット番組「おしごとなにしゆうがー?」では、障害のある人がレポーターとなり、さまざまな仕事を学びながら発信。一人ひとりの得意や創作活動を仕事へつなげる取り組みを紹介します。
団体名称 アートセンター画楽
活動拠点 高知
1990年に創業したデザイン事務所「有限会社ファクトリー」が、自社の資源を生かした社会貢献として2004年に開設したのが「アートセンター画楽」です。自分たち自身がアートを発信する主体となり、2015年には「おしごと画楽」を開設。創作支援や展覧会、グッズ制作を通じて障害のある人たちの素敵な可能性を伝え、仕事として価値化する取組みにアップデートし今に至っています。
展示13 京都人力交通案内
見ず知らずの人との偶発的な出会いと会話
スウィングの代表的なプロジェクト、京都人力交通案内『アナタの行き先、教えます。』を紹介します。市営バスの路線をなぜか(ほぼ)丸暗記しているメンバーQとXLが、驚異の知識を駆使して観光客や困っている人にルートを案内する“ヘンタイ記憶パフォーマンス”です。実際の案内用紙やメモ、腕章や帽子などの小物に加え、活動の記録映像も展示します。
団体名称 スウィング
活動拠点 京都
2006年に京都・上賀茂で誕生したスウィングは、障害のある人ない人およそ30名が働く福祉施設です。「仕事=人や社会に働きかけること」と定義し、アートや公共などの活動を展開しています。「べき」や「ねば」といった既存の仕事観・芸術観に疑問符を投げかけながら、世の中が今よりほんのちょっとでも柔らかく楽しくなればいいな!と願い、さまざまな創造的実践を繰り広げています。
展示14 社会にオープンなフォント
障害のある人・デザイナー・学生をつなげる仕組み
渋谷に暮らし働く障害のある人が描いた文字や絵を、桑沢デザイン研究所の学生と協働し、フォントやパターンデータへと制作(2025年3月時点670種以上)。渋谷区公認のパブリックデータとして公開され、誰でも利用できます。全国へと広がる「ご当地フォント」など、創造活動に参加できる共創のしくみが地域に新しい価値を生み出しています。
団体名称 シブヤフォント
活動拠点 東京
一般社団法人シブヤフォントは「ショウガイはへんしんできる」を理念に、多様な共創を生み出すクリエイティブ集団です。渋谷区の福祉事業所とデザイナーがともに制作したフォントや模様は、公共空間や商品のデザインに活用されています。全国各地へのノウハウ継承に向けて伴走支援も展開中。原宿に「シブヤフォントラボ」を開設し、誰もが多様な創造に出会える交流と発信の場を開いています。
展示15 澤田隆司さんの経過物
人を軸とした創造的な福祉
片山工房では、「障害者」である前に「人」として考えます。人にとって必要な場であり続けるため、既存の福祉施設やアートの枠にとらわれず、自分たちの感覚から改めて考え直しながら活動を展開しています。今回の展示では、澤田隆司さんの経過物とともに、片山工房が大切にしてきた考え方を紹介。ことばとものの間にある意味を探ります。
団体名称 片山工房
活動拠点 兵庫
1993年に小規模作業所として始まり、2003年に「片山工房」と改称してアート支援を本格化しました。アート(表現)活動を軸にしつつ、本人が望むことを形にできる場でもあります。絵を描く場でありながら先生はおらず、その人に合う画材や手法を探ることに力を注いでいます。創作に迷った時だけ声をかけ、絵を描かずに過ごす日も歓迎。その人らしさがいっぱいにあふれる場をめざしています。
展示16 Easy Read Information
障害のある人に開かれた情報アクセスと文化への参加
障害とアクセシビリティに関わるアートやデザインプロジェクトを軸に、NGOや地域コミュニティ、政府機関との協働へと活動を広げてきました。本展示では、当事者やソーシャルワーカーと協働で編集・制作するアクセシブルなガイド「Easy-to-Read」を中心に取り組みを紹介。誰もが情報にアクセスできる社会をめざす、台湾発の実践を共有します。
団体名称 Sandwishes Studio/三明治工
活動拠点 台湾
2012年に設立された「Sandwishes Studio」は、英語で「砂のようにたくさんの願い」という意味をもち、台湾語では「三人のボランティア」と同音異義語になります。創設時に3人のクラスメートで立ち上げたことにも由来する名前です。障害のある人や困難な状況にある人、ソーシャルワーカーや関係者など、さまざまな立場の人と協働し、幅広いプロジェクトに取り組んでいます。
展示17 ひとりの世界を深く見つめる記録
映像を通して社会の認識を変える試み
障害のある人の表現や日常に丁寧に向き合い、多様な視点を映像で伝える取り組みを紹介します。創造した仮想の世界を探検するドキュメンタリー、施設を出て自立をはじめた女性の思いを歌にのせたミュージックビデオ、そして芸術と日常の関わりを見つめるインタビュー映像。多様な生き方に光を当てる実践を、書籍やカタログとともに展示します。
団体名称 MEDIA PEELING
活動拠点 韓国
ドキュメンタリー監督、プロデューサー、広告プランナー、デザイナー、アクセシビリティ研究者など、多様な分野の専門家が結集したクリエイティブチームです。本物の物語を大切にした映像制作を軸に、障害のある人とも協働し、社会の見え方を変えるプロジェクトに取り組むのが特徴。企業や公共機関とも連携し、アート・ファッション・メディアを横断し、国内外へ新たな表現を発信し続けています。
展示18 文化を通した共生の軌跡
人と地域の文化的な成長を育むコミュニティアート
2023年に始まったDADAA・やまなみ工房・たんぽぽの家による交流プロジェクトを紹介します。互いの国を行き来し、展覧会やワークショップ、フォーラムなど多様な場で関係を深めてきました。文化的背景や社会的文脈を学び合いながら、アートとものづくりの新たな可能性を探る試みです。プロモーション動画や日本における展覧会の記録を展示します。
団体名称 DADAA
活動拠点 オーストラリア
1986年、少人数の医療従事者と障害のある人によるアーティストグループとして発足し、1994年に現在の組織へと発展。以来、芸術と障害を軸に活動を続けてきました。西オーストラリアの障害者アートを牽引し、創作支援やスタジオ運営、地域と連携した大規模プロジェクトなどを実施。連邦・州政府の支援を受けながら、芸術や障害、インクルージョンに関する全国的な対話づくりも担っています。
②エイブル・アート・ムーブメント30年の軌跡とこれから
1. 分野を超えた協働
市民や企業、行政、研究教育機関など、障害とアートのこれからに関心を寄せる人や団体が分野を超えて集まり、それぞれの活動から得られた知識やノウハウ、未来にむけてのビジョンを交換しあう
2. コミュニティにアートをとどける
アートを美術館やギャラリーのなかだけでなく地域のなかで楽しむ機会をつくる。また、時間や場所をこえ多様な人が出会い表現しあうオンラインコミュニティをつくる
3. パフォーミングアーツの実験
さまざまな身体や感性をもつ人たちと、既存の枠組みを超えた身体表現や舞台をともにつくることをとおして、多様な表現のあり方を社会になげかける
4. Able Art Company アートをしごとに
障害のある人の作品をデザインとして使用したい企業やデザイナーと作家をつなぐ仕組みを整え、障害のある人が自己実現を果たしながら社会参加する機会を増やす
5. 災害からの生きる力の取り戻し
災害にあった人たちと痛みや願いを分かちあい、いのちとくらしの支援を行う。そして、一人ひとりの幸せのあり方をみんなで考え、新たに生きる力にみちたコミュニティの文化の再生を試みる
6. Good Job! Project 新しいしごととはたらきかた
障害のある人がその人らしく生き、社会に関わることができるよう、異分野と協働しながら多様な個性や能力を発揮できる環境や仕組みをつくり、創造的なはたらきかたを提案す
7. NEW TRADITIONAL 福祉と伝統工芸の相互発展
ものをつくるという行為を、つくり手や使い手、環境、素材、持続性など、さまざまな視点から見つめなおし、伝統や、ものづくりのあり方と暮らしについて考え実践する
8. だれでも、いつでも、学び続けられる社会へ
障害のあるなしにかかわらず、だれもが生涯をとおして新しいことや好きなことをいつでも学ぶことができる環境をつくり、学びの権利を保障する
9. アクセシビリティ 芸術文化、生活文化への参加
一人ひとりが異なる感じ方をしていることを前提に、だれもが文化や教育にアクセスできる場のデザインや仕組みを、障害のある人とともに学び合い、考え、実現する
10. 創造性と権利
表現やものづくりにおいて、だれもが人権を尊重されながら創造性を発揮できるように、どのような権利があるのかを知り、つくり出したものをまもりながらひろめる考え方と方法を学ぶ
11. 表現とケアとテクノロジー
命の尊厳、他者への気づかい、可能性感覚など、アートとケアの現場で生まれた視点をとおして、人間とテクノロジーとの関係を考え、福祉と技術をつなぎなおす
12. 学び合うネットワーキング
障害のある人のアート活動への関心が世界各地で高まっているなかで、地域に根を下ろし、人が生きる場をつくってきた人たちが集い、学び合う国内外のコミュニティをつくる
③歴代ポスター展示
活動の種をまき、育てるーエイブル・アート・ムーブメント始動
1980年代まで、日本では障害のある人のアート活動は発表や批評の機会が限られていましたが、1994年に日本障害者芸術文化協会(現エイブル・アート・ジャパン)が発足。1995年に「エイブル・アート」という市民芸術運動をスタートさせました。はじめに取り組んだのは、障害のある人のアートの価値を伝える展覧会です。1995年の「エイブル・アート・フェスティバル大阪」や1997年や99年の東京都美術館での展覧会が反響を呼び、その後の各地での展覧会やシンポジウムにつながりました。それらを支えたのは全国の福祉、アート関係者、そして企業です。それが現在のネットワークにつながっています。
エイブル・アートの国際交流
たんぽぽの家では1990年代から、アジア、世界の国と地域と「わたぼうし音楽祭」を通じて、つながりをつくってきました。1995年、97年と日米聴覚障害者芸術文化交流プロジェクトとして、日本ろうあ連盟らと連携し「ギャローデット・パフォーミングアーツ・ワークショップ」を実施。また、2020年に行ったエイブル・アート・国際会議では8カ国から障害のある人たちのアート活動支援やアートと地域社会の連携を推進する人人たちが集まり、発展にむけて議論をかわしました。当初は欧米の先進事例から学ぶ機会が多く、最近では韓国や香港、シンガポール、台湾、オーストラリアなどアジア太平洋地域との交流が増えています。
コミュニティアートーキーワードは「参加」
近畿労働金庫の社会貢献活動としてスタートした「ひと・アート・まち」。2000年より近畿2府4県を毎年1カ所ずつ巡回するアートプロジェクトを18年間にわたり実施。商店街やまちづくり団体、NPOなどとその地域の障害のある人たちによって、生活のなかでアートに触れるきっかけをつくりました。「プライベート美術館」「世間遺産」など多様なプロジェクトも生まれました。この取り組みは、奈良県障害者芸術祭「HAPPY SPOT NARA」にもつながり、現在、奈良県みんなの芸術祭でのプライベート美術館では毎年、500点をこえる作品が集まり、70をこえる店舗で作品を展示しています。
ユニークな仕事、想像的なはたらきかたを発信
障害のある人とアート・デザイン・ビジネス・福祉の分野をこえて、新たな仕事とはたらき方を提案する試みとして、2012年より展覧会やメディアでの発信、企業やクリエイターと出会う場づくりに取り組んできました。魅力的なプロダクトや、地域と福祉の協働から生まれる仕事などを発信する展覧会「Good Job! Exhibition」や奨励する「Good Job! Award」を実施。2016年にはGood Job! センター設立につながり、グッドデザイン金賞を受賞しました。また、コロナ禍においては全国各地の取り組みからヒントを収集した『コロナ禍を契機とした障害のある人との新しい仕事づくり』を刊行しました。
分野をこえた実践の共同体をつくる
仕事やはたらき方の選択肢をひろげること、どのような状況にあっても表現しあえる状況をつくることなどをめざし、異分野連携によるさまざまなプロジェクトが生まれています。地域、福祉、工芸をつなぎ、地域の文化資源や循環型のものづくりを学び合う「NEW TRADITIONAL」、エンジニアと福祉の現場をつなぎ、表現とケアとテクノロジーのこれからを考える「Art for Well-being」など、小さくても実験的な取り組みを継続し、社会にひろげていくことをめざしています。2023年には、エイブル・アート・ムーブメントの原点となったたんぽぽ運動が50周年を迎えました。
④ショップ
出店団体1 アートスペースからふる(鳥取)
鳥取の因州和紙×アート
個性的なアート作品の制作を行っている、「アートスぺースからふる」が手がける、因州和紙シリーズ。「NEW TRADITIONAL in 鳥取」の取り組みから生まれた、アートと因州和紙の融合からうまれました。デザイナー、川崎富美さんによるプロデュースのもと、地元鳥取の因州和紙の伝統工芸士と協働することで、アートを活かした唯一無二の特徴的な商品が実現しました。
出店団体1 アートスペースからふる(鳥取)
鳥取の因州和紙×アート
個性的なアート作品の制作を行っている、「アートスぺースからふる」が手がける、因州和紙シリーズ。「NEW TRADITIONAL in 鳥取」の取り組みから生まれた、アートと因州和紙の融合からうまれました。デザイナー、川崎富美さんによるプロデュースのもと、地元鳥取の因州和紙の伝統工芸士と協働することで、アートを活かした唯一無二の特徴的な商品が実現しました。
出店団体2 かすたねっと(東京)
おいしい材料でやさしい響きを
1986年から東京・練馬でお店を構える、手づくりの焼き菓子専門店。おいしいものをつくるための基本姿勢は「おいしい材料でつくりましょう」ということ。できるかぎり新鮮で、おいしい、いい素材をそろえ、誰にでも親しまれるような、やさしくて楽しい、“かすたねっと”のような響きがひろがることを願いつくられています。
出店団体3 Kiitos(鹿児島)
Bean to bar チョコレート工房
kiitos(キートス)は、カカオ豆からチョコレートになるまでのすべての工程を自分たちの手で行う“ビーントゥバー”チョコレート工房です。使うのは、厳選したカカオ豆ときび砂糖だけ。ザクザク食感で香りがしっかり感じられる〈クランチ〉タイプと、時間をかけてなめらかに仕上げた〈スムース〉タイプの2種類があります。どちらも成形してから一週間ほど寝かせ、味を落ち着かせてからお届け。カカオの個性がそのまま楽しめる、こだわりのチョコレートです。
出店団体4 嬉々!!CREATIVE(神奈川)
原画の力を商品に落とし込む
嬉々‼CREATIVE(キキ・クリエイティブ)は、神奈川県平塚市にあるアトリエ兼福祉事業所、兼アートプロダクション、ブランド名でもあります。商品は、すべてメンバーが制作した作品から生まれ、絵がもつ生命力、色や線の面白さ、偶然の表現などがいかされています。「原画をそのまま商品に落とし込む」ことを大切に、商品としての完成度と、アートの魅力を両立させることにこだわって作っています。
出店団体5 暮らしランプ(京都)
暮らしの少し先が明るいとほっとする
京都にある「暮らしランプ」は、京都市や長岡京市、大山崎町にて、就労継続支援B型事業や生活介護事業、放課後等デイサービス事業などを展開しており、それらの活動と並行して、コーヒーの焙煎所やカフェ、レストランといった地域に開かれた場も運営しています。淹れたてのコーヒーや想いがこもった食事、利用者さんの心と体が連動した個性あふれる作品を通して、ほっと暮らしが明るくなる時間を提供しています。
出店団体6 工房まる(福岡)
my voice, my place, my life ひとりひとり、いろいろで、まる
手作りならではの表情と、土のあたたかみ。たたく・おす・ころがす・ちぎる—— それぞれの手しごとから生まれるかたちは、手の跡をそっと残しながら、やさしく手になじむ器になりました。 また、maru の陶芸には、人と人との関わりから生まれる作品があります。手から手へと土を渡す、そのシンプルな行為の中で、ふたりのあいだに静かなやさしい時間が育まれていく場面を、幾度となく見てきました。ひとつひとつの器にはストーリーがあり、そのかたちが生まれたことには、確かな必然があります。それこそが、maru の器がもついちばんのオリジナリティです。
出店団体7 しんせい(福島)
避難所生活からうまれた、「山のにんじんカレー」
福島の原発事故の影響を受け避難生活が始まった障害のある人を支援するために立ち上がった団体「しんせい」。避難所での食事は、「冷たいままのレトルトカレーが食べにくかった」「野菜が不足し口内炎ができた」「ストレスから食欲もなく、消化の良いものが食べたかった」などの意見が多くあげられました。そのような経験から、細かくカットした野菜をたっぷりと使い、消化吸収が良く、冷たくても美味しく食べられる「山のにんじんカレー」が作られました。
出店団体8 torinoko(東京)
見つめて、見つける、モノづくり。
暮らしに寄り添うデザインを探求する「torinoko」と、視覚障害者支援総合センター「チャレンジ」の協働でうまれた「わらいなきの干支人形 午」。木と藁(わら)でできていて、首をうまく回すと音が鳴ります。鞍には点図で「わらわら…」と記されていて、笑いの絶えない未来への願いが込められています。(音が鳴らない個体もございます。ご了承ください) dotは点字の教科書で使われている印刷技術を応用してできたペーパーアイテムシリーズです。みても触れても模様を楽しむことができます。
出店団体9 NOZOMI PAPER Factory(宮城)
手漉きで作られるリサイクルペーパー
手漉きの再生紙「NOZOMI PAPER®︎」の生産とアート活動を行う「のぞみ福祉作業所」と、デザインユニット「HUMORABO(ユーモラボ)」による社会福祉の楽しく新しい関係を探る協働プロジェクト。東日本大震災をきっかけに、宮城県南三陸町で誕生したNOZOMI PAPER®︎は、全国からいただく紙パックや古新聞などを原料に、手漉きで作られるリサイクルペーパーです。一枚漉きならではの揺らぎのあるやわらかな輪郭線と、厚みのあるふかふかの手触りが特徴です。
出店団体10 poRiff(大阪)
レジ袋をコラージュしてアップサイクル
「あるものでつくる」をモットーに、逆境も工夫で乗り越え、あるものを使って工夫で世の中をちょっと愉しくする集団「くふう」。一見捨ててしまうようなレジ袋をコラージュし、熱で圧着して完成するシートを使ってプロダクトに変えています。 制作は岸和田・就労継続支援B型事業所オーロラと、東大阪・生活介護事業所活動センターいっぽのふたつの福祉施設で、カットからミシンによる縫製まで、すべて障害のあるひとの仕事として行われています。
出店団体11 Laboratorio Zanzara(イタリア)
アトリエと街を自由に行き来して
北イタリア・トリノにあるLABORATORIO ZANZARA(ラボラトリオ・ザンザーラ)はデザイナーや障害のある人たちがはたらくNPOです。アトリエは街の中心街にあり、地域の人たちに見守られながら、アトリエと街を自由に行き来し、紙の張子やシルクスクリーンなどのオリジナル商品を手がけています。日本では、デザインファーム〈NAOKO〉が活動や商品ん紹介をしています。
出店団体12 La Mano(東京)
“つくり手”から“つかい手“へとつなぐものづくり
伝統的な染め織りの技法を取り入れながら、障害のある方が手しごとの担い手として人々の生活や心に息づくようなものづくりをめざすLa Mano(ラマノ)。「藍型染め手ぬぐい」は、木綿100%の晒しの生地を徳島産や国産の「すくも藍」と呼ばれる天然藍を100%使用し、濃い色合いで8回~10回ほど藍で染め重ねます。手ぬぐいの模様には、「型染」と呼ばれる技法が使われ、障害のある人のアート作品が図柄として使われています。
出店団体13 motif(愛知)
ものづくりを通して地域とつながる
かわいい、おもしろいでつながるプロダクトが生まれる場をつくることをめざすmotif(モチーフ)がつくる厄除け狛犬。愛知県西春日井郡豊山町の指定文化財である八所神社の狛犬をモチーフとして素焼きの陶器で仕上げました。狛犬の名称は、異形の姿が日本では異国の犬、すなわち高麗(こま)の犬と考えられたことに由来しています。厄除けのお祓いは八所神社で行い、売上の一部を神社へ寄付しています。
出店団体14 H TOKYO(東京)
Made in Japanの四角いハンカチ
H TOKYOでは、選りすぐりの上質な素材、洗練されたデザイン、丁寧なものづくりを基本にハンカチをつくっています。縫製やプリント加工などは全て日本製でだからこその品質の確かさ。ハンカチは、一見すると単に四角く直線を縫うだけに見えますが、紙と違い、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)からなる生地を正方形に仕上げるのは簡単ではありませんが、国内のハンカチ専門の縫製工場で、四角くてきれいな仕上がりにこだわって職人が縫製を行っています。
出店団体15 PELP!(大阪)
コピー用紙の100%再生紙でアップサイクル
「PELP!」は、オフィスで排出されるコピー用紙をリサイクルして作られた100%再生紙をアップサイクルするサービスです。山陽製紙株式会社では、設立以来、小ロットで古紙を再生し、必要な紙を必要な時に必要な量お届けする事に力を注いできました。地球の資源を如何に後世に残して行くかが問われる今、「環境活動に貢献している喜びを実感したい!」というニーズに応えるために「PELP!」がスタートしまいた。
出店団体16 Tabio(奈良)
履いていることさえ忘れてしまう靴下
TabioとAble Art Companyとのコラボレーションの取り組みが今年で15周年を迎えます。Tabioがめざしているのは、履いていることさえ忘れてしまう、まるで第二の皮膚のような靴下。編み工場の中だけでも10人を越える人の手が、強くしなやかな靴下を作り出しています。縫い目の圧力や室温など、細部にまでこだわっています。また、世界中から最高級の糸と生地を調達し、国内でデザイン・製造しています。
出店団体17 FELISSIMO(兵庫)
チャレンジドの可能性を広げる社会の実現
「ユニカラート」は、UNIQUE・COLOR・ARTを合わせた造語。アートを通して、チャレンジドの可能性を広げる社会の実現をめざすプロジェクトです。描く人、作る人、使う人がアートでつながり、だれもが可能性を広げる社会をみんなでめざします。ユニカラート商品の販売価格の一部は、ロイヤリティとして作者の収入になります。また、すべての商品に「UNICOLART基金」が付いており、集まった基金は、支援団体を通じてチャレンジドのアート活動支援に使われます。
出店団体18 むす美(京都)
ふろしきで⼼豊かな暮らしを提案
山田繊維が提案する「ふろしきでの⼼豊かな暮らし」。毎⽇の⽣活に役⽴つサスティナブルなアイテムでありながら、アートのように眺め、⽂化を知り、⾃分の⼿で創りだす喜びを感じられるふろしき。京都と東京にある「むす美」の店舗は、より多くの⽅にそんな「⼼豊かな暮らし」を感じていただくためにオープンしました。伝統をリスペクトしながらも、飽くなき探求⼼とクリエイティビティで挑戦し続けています。
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(1)講演室のトークセッションと、光の広間の交流プログラムの内容
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